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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/04 21:29:28

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大部屋は朝飯の支度でバタついている。

俺は新聞を手にして、広縁に向かった。

するとそこには…

「おう、よく起きれたな。」

…高原さんがいた。

金髪の…子供を連れて。

「…おはようございます。」

高原さんの前に腰を下ろすと。

「リズ、おじいちゃんが来たぞ?」

「あー。」

「……」

…おじいちゃん。

いつかは呼ばれるんだろうが…

…がーん。って感じだった。

いや、そもそもこいつは…咲華とは血の繋がりがない。

俺の孫と言っても…

「…二階堂の事件で孤児になった子らしい。」

「……」

高原さんのつぶやきに、子供の顔を見た。

「血の繋がりなんて、あってもなくても…だよな。色々迷う事はあっただろうが…紅美を見れば陸と麗の愛情が確かだったのが分かる。」

「……」

「ぴゃっ?まー、まっあっ。」

子供は俺の膝に手を着いて…ぐっと足に力を入れた。

「んっ?立つのか?」

高原さんがそう言ったが…

「いや…まだ早いでしょう。おい、おまえいくつだ。」

「千里…」

苦笑いの高原さんと、眉間にしわの俺を前に。

『リズ』は足にぐぐぐっ…と力を入れて。

俺の膝に置いていた手と、床についている膝で移動しながら…

「ううーあっ。」

俺の腕を掴んで…まるでよじ登りそうな勢いで…立ち上がって俺の顔を見つめた。

「…咲華、リズがつかまり立ちしてるぞ?」

高原さんが和室に声をかけると。

「えっ!?」

咲華だけじゃない…二階堂海も走ってやって来て。

「えーっ!?リズちゃん!!」

咲華は大きな声を出して驚いて。

「ちょ…ちょちょ…ちょっと、そのまま…」

二階堂海は…狼狽えながらスマホを取り出して…

「リズ、こっち向いて。ほら、ママの方。」

そう言いながら…

…ママ…

出産もしてない咲華が…ママ…

つい、顔が険しくなる。


「…千里、顔。リズが見てる。」

高原さんに小声で言われてハッとすると、リズがマジマジと俺を見ていた。

「……」

「……」

俺とリズが見つめ合ってると…

「父さん、顔怖い…」

咲華が低い声で言った。

「…生まれつ」

「ひゃあ!!」

突然、リズが俺の腕から両手を離してバンザイをしかけて。

「危ない!!」

みんなが大声を上げたが…

「あっぶねーな…おまえ…自分がいくつだと思ってんだ。まだ歩けねーんだぞ?手を離すな。」

俺は…リズの腰をぐっと持って…言った。

「ばー。」

「ばーじゃねーよ。俺はじーだ。」

そう言って、リズを抱える。

「ひゃはっ。」

「ふっ。」

「あー。んばっんばっ。」

「だから、じーだっつーの。」

リズは…懐かしい匂いがした。

柔らかくて、壊れそうなリズ。

「…おまえ、意外と子供にモテるんだな。どう見ても俺の方が優しい顔なのに。」

高原さんのぼやきに笑いながら振り向くと、咲華と二階堂海が俺とリズを見ていて。

「…お宝映像、ありがとうございます。」

二階堂海はスマホを片手にそう言った。

咲華は俺の隣に腰を下ろして。

「…リズちゃん、良かったね。じーちゃんが遊んでくれて。」

リズの頭を撫でながら言った。

つかまり立ちには労力がいるのか、リズはすでに俺のあぐらの上に仰向けになっている。

「…こいつ、朝飯は。」

「離乳食。」

「持って来い。」

「…ありがと。」

咲華はゆっくり立ち上がって、しばらくすると義母さんと知花と華月を従えて戻って来た。

「ずるい~千里さん!!」

「あたしだってリズちゃんに食べさせたいのにー…」

「お父さん、一口ずつにしない?」

「……」

背中に三人のブーイングを受けた俺は、座ったまま向きを変えて。

「…見ろ。もうスタンバってんだ。」

二階堂海が持って来てくれた前掛けを着けて、俺の腕でいい子にしているリズを…

見せ付けてやった。

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