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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/04 20:26:18

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「おはようございます。」

「……」

朝から…二階堂海はきちんとしている男だった。

昨夜、明らかに誰よりも酒を飲んでいるはずなのに…疲れている様子もない。

ましてや、二日酔いの気配もない。

白いシャツを腕まくりして、…座っていればいいものを…和室に膳を運んでいる。

「まあ、海さん。座布団も並べてくれたの?」

「ついでですから。」

「座ってていいのに。」

「いえ、身体を動かしたいので。」

「頼もしいわ~。」

義母さんと二階堂海の会話を耳の裏辺りに引っ付けながら大部屋に入ると。

「…父さん、顔酷い…」

小鉢に盛り付けをしていた華月が…目を細めて言った。

「……」

可愛い娘にそう言われて、さりげなく茶箪笥のガラスに映る自分を見てみると…

……なるほど。

酷いなこりゃ。


昨夜は…二階堂海に浴びせるほど酒を飲ませた。

なのにあいつは…グイグイとグラスを空にして…

絶対酔わせて、本性を引き出してやる!!と思ったのに…

二階堂海は酔わなかった。


気が付いたら、桐生院家の男達が…

聖は最近の疲れからか、早い内に和室で落ちた。

華音でさえ、まだ起きて来ない。

「……」

大部屋を見渡して。

「聖は。」

華月に問いかけると。

「和室の隅っこで潰れたまま。」

首をすくめながら答えた。

「……」

「海君、お酒強いね。うちの呑兵衛達が撃沈なんて。」

和室から戻って来た二階堂海に、華月が賞賛の言葉。

ムッ。

二階堂の者は酔わないんじゃねーか?

志麻も酒には強かった。

少しだけ陽気になっていたような気はするが、本当に微々たるものだ。


「…本当に酔っ払って結婚したのか?」

すれ違いざまにそう言うと。

「えっ?」

二階堂海は、驚いた顔をした。

「咲華を酔わせて、おまえは素面だったんじゃねーのか?昨夜あれだけ飲んでも酔っ払ってねーんだ。結婚するほど酔っ払うって、何日飲み続け……」

つい…言葉を止めた。

知花が視界に入ったからだ。

「海さん、もういいわよ?お手伝いありがとう。」

「いえ…他にする事はありませんか?」

「いいから座ってて?」

「海君、家でもそうやって動くの?お姉ちゃんにこき使われてるとか?」

「もうっ、華月。あたしがやらせてるんじゃなくて、海さんが自発的に…」

「家の事をするのは苦じゃないからな。」

「お姉ちゃん、いい人と結婚したね。」

「えへへ…」

……


家の事をしない男は、駄目なのか?

一度座ったら立ち上がらない、家の事をしない俺は、駄目男なのか?

喉元まで出かけて…やめる。

視界に知花が入ったからだ。


先月…咲華が旅に出た後ぐらいから。

知花の様子がおかしかった。

広縁で一人で景色を眺めながら考え込んでいたり。

急に二日ほど仕事を休んだり。

何があった。と聞いても、答えなかった。

俺も、咲華が旅に出て寂しくなったのだろう。ぐらいしか…思わなかった。

あれぐらいから…知花が変わった。

俺に対して、冷たい。

風呂も、三度に一度は断られる。

背中を向けて寝る事も増えた。

…なんなんだ。

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