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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/04 16:38:00

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「も…もう!!やめてよ父さん!!」

咲華が真っ赤になって、神さんの腕を掴む。

「まあまあ…咲華…」

そう言って咲華の背中をポンポンと叩いたのは…苦笑いのさくらさん。


「もう…ほんとに…ごめんなさい…」

咲華が小さな声で俺に謝る。

「なんで?俺は…楽しいけど…ふっ…」

「笑った!!」

「い…いや、これは…おかしくて笑ってるんじゃなくて…可愛いからつい…」

咲華が真っ赤になって阻止しようとしたのは…

自分の小さな頃の映像。


桐生院家に訪れて…どれぐらいだろう。

外からはヒグラシの声。

ここは、なんて心地いいんだ。


「見ろ。これは咲華が三歳の時だ。」

神さんは俺の首をグッとホールドして。

「可愛いだろう。」

…真顔。

「…はい。本当に。」

テレビ画面の中、咲華は…

『とうしゃん、しゃく、にかいにないたいよ〜。』

なぜか…『二階になりたい』を連発。

「懐かしいわ…咲華の『二階になりたい』。みんな、悶絶してたわよね。」

そう言ったのは、さくらさん。

当の咲華は眉毛を八の字にして、唇を尖らせている。

そんな顔は…

「…今、映像と同じ顔してるぞ?」

俺が咲華にそう言うと。

「ああ、この頃の咲華は、知花が入院してたから寂しくて…毎日こんな様子だった。」

神さんがすかさず答える。

…どうせなら、咲華の隣で見たいのに…

神さんが俺の隣をガッチリキープ。

咲華は、さくらさんと知花さんに挟まれている。


『しゃく、こえ。』

『ん。』

『ん。』

『ろん、こえ。』

『ん。』

『ん。』


「……」

画面の中で…咲華と華音が何かをやりとりしては『ん』と顔を見合わせている。

その微笑ましい光景に、みんなはウットリしたが…

「…あれは何を?」

何となく不思議に思えて咲華に問いかける。

「…別に何てことないのよ…ご機嫌伺いみたいなもの。」

「ご機嫌伺い?」

「ああ…よくやってたな。庭の小さな花を一つだけ摘んで。」

神さんが『俺は知ってる』みたいな、少し自慢げな声でそう言うと。

「機嫌が悪いと、受け取らないのよね。」

知花さんが…懐かしんだ様子で言った。


…俺の妹に何しやがる…か。

華音は俺の親友と思ってたが…

それでも許せなかったんだな。

これを見ると…分かる。

華音が…双子とは言え、兄として咲華を守ろうとしていた事。

でも、あんなに力いっぱい殴るなんて…

全く。


大部屋と呼ばれる和風のダイニングキッチンにいるのは、俺と咲華と神さんと…眠ったリズを抱えた知花さん…

そして、さくらさんと、華月と聖。

その他大勢は…和室で寝てたり飲んでたり、さくらさんの作った料理を食べたり…らしい。


廊下で神さんに頭を下げて…ひたすらグラスに注がれるビールを飲んだ。

いつもなら酔ってもおかしくないペースで飲んだが、全く酔えない。

それは…神さんも同じだからだ。

俺の首を抱き寄せてるのは、酔ったふりをしているから出来ている事で…

本当は、殴りたい気持ちでいっぱいなのかもしれない。

さっきから…首が苦しい。


三歳の映像が終わって、咲華がすかさずテレビの電源を落とした。

「もう見ないで。見なくていい。見たくない。」

唇を尖らせて神さんにそう言った咲華に。

「…華音は?」

俺がそう言うと。

「…知らないっ。」

相変わらず唇を尖らせたままの…咲華。

「そういや、俺帰ってから一度もノン君見てないな。」

聖がそう言うと。

「バツが悪いんじゃない?いきなり海君の事殴ったりして。」

華月が立ち上がって和室に向かったようだった。

「…えっ?海さんを殴ったの、親父じゃねーの?」

「俺は殴ってない。」

「えー…俺はてっきり…」

「今からでも殴りたい。」

「…覚悟は出来てます。」

「千里、やめて。」

「……」

知花さんの言葉に、みんなが黙る。

どうも今日は…色んな人から聞いていた知花さんとは違うような…


「お兄ちゃん和室にいないけど、出かけたのかな。」

華月がそう言って戻って来て。

「部屋じゃないの?」

さくらさんが立ち上がった。

「……」

「……」

つい、咲華と顔を見合わせる。

部屋にいるとしたら…きっと紅美も一緒だ。


咲華、行って。

やだ。あたし知らない。


そんなアイコンタクトをしていると…


「あー、よく寝た。」

噂の当人、華音がやって来て。

「……なんだよ。そのイチャつきぶりは。」

俺と神さんを見て、目を細めた。

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