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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/04 15:54:43

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「どこにいるのかと思ったら…」

俺が部屋にいると、ノックもなく…紅美が入って来た。

「…何閉じこもってんのよ。」

紅美は首をすくめて俺の隣に座ると。

「縁側では高原さんが惚気を交えた昔話をしてて、大部屋ではついにちさ兄が海君とビールを飲み始めてるけど。」

別に小声で言わなくても誰もいないのに…俺の耳に口元を寄せて言った。

「…沙都と曽根は。」

「朝霧さんと三人で乾杯してたよ。」

「……」

「何が面白くなくて海君を殴ったの?」

紅美にそう言われて、俺は目を細めて…大きく溜息をついた。

「ん?何々?」

「……」

「海君の事が気に入らないの?」

「…別に、海が嫌いなわけじゃない。」

「じゃあ何よ。」

「……」

どう言えばいいんだろうか。

天井を見上げて考えてると。

「カッコいい事言ってやろうとか思わずに、今思ってる事をぐちゃぐちゃでもいいから言葉にしてみてよ。」

…くそっ。

こいつ、全部お見通しかよ。


「…あいつ…」

「あいつ?」

「咲華。」

「うん。」

「…あいつには、普通に幸せになって欲しいって思ってたんだ。」

「……」

そう。

普通に。

俺らみたいな業界人でもなく、志麻や海みたいに命を懸ける仕事でもなく。

まあ、言えば…曽根みたいに酒屋の息子でもいい。

…曽根は沙都のマネージャーになったからアウトだが。


志麻にとことん待たされて…待ってばっかの咲華を間近で見て。

それでも咲華が志麻を好きなら仕方ねーよなとは思ってたけど…

咲華にも限界が来てた。

それならやっぱ…OLの咲華には、同じ会社の男とかさ…

取引先の奴とかさ…

志麻や海とは違うスーツの似合う男が、俺は良かったんだ。

それなのに…

傷心旅行先で出会ったのが海だ?

志麻となんら変わりねえ…いや、志麻よりもっと危険な立場だ。

その上、金髪の子供まで引き取ってる。

海の隠し子じゃねーのか?

もう、色んな妄想が頭の中に渦巻いて…殴らずにはいられなかった。

咲華の普通の幸せを、何ぶち壊してやがんだ!!って。

さらには…

酔っ払って結婚しただと!?


「愛し合ってるって言ったよ?」

まるで心が読めてるのか…

紅美が俺の顔を覗き込んで言った。

「…言ってたな。」

「結婚のキッカケなんて、どうでもいいんじゃないの?酔っ払って結婚しても、愛し合えたんならOKじゃないの?」

「……」

「まあ…子供を引き取ったってのは驚いたけど。」

「おまえは…」

「ん?」

「いいのか?海が…」

「何。」

「……」

「何よ。」

「…海が、子供を作ってもいいのか?」

「……」

しばらく見つめ合った。

…見つめ合ったと言うより…

紅美の目は『あんたバカ?』って言ってる気がする。


「…もしかしてさあ…」

紅美は俺から視線を外して、前に足を投げ出すと。

「あたしがノン君と付き合い始めた腹いせに、海君が咲華ちゃんと結婚した。ぐらいに思ってる?」

「なっ…!!」

バカな!!

…と言おうとして…

いや…もしかしたら俺は、それも少し思ったのかもしれない。

まだ海は紅美を好きなはずだ。

なのに、なんで咲華と結婚!?

ってのも…頭をかすめた。


「…違うって言いたい所だけど、ちょっと図星だから黙ってんの?」

…ああ、もう…

なんで紅美は俺の事がそんなに分かるんだ!!

「…そーだな…カッコ悪すぎだけど、そういうのもあるな。」

前髪をかきあげたついでに、頭を抱えて髪の毛をクシャクシャにする。

あー…マジカッコ悪いぜ…

俺のカッコ悪いのなんて今更だが…今更だからこそ、カッコいい所見せて挽回したいのに…


「ノン君。」

予想に反して、紅美はなぜか俺に抱きついて。

「今から大部屋行って、海君に謝ろうよ。」

俺の目を見て言った。

「…なんで謝ま」

「シスコンなの?」

言葉を遮られてまで言われた言葉がそれで、俺はかなりムッとした。

「バカな。」

「じゃあ別にいいじゃない。幸せな事よ?それとも、知花姉が言ったみたいに、ノン君が結婚する時に咲華ちゃんに反対されたい?」

「……」

「あたしはやだな…反対なんてされるの。まあ…だから今慎重になってるってのもあるけどさ。」

「……」

「特に、自分の味方になってくれるって思ってる人からの反対なんて…絶対へこむ。」

紅美は…

『絶対へこむ』の『絶対』を、やたら強調して言った。

それはすでに咲華と海がへこんでる。って言わんばかりに。


「ノン君が家族想いの優しい人ってのは分かってるからさ…」

紅美は俺の肩に頭を乗せて。

「大部屋に行って、二人を祝福しようよ。」

チュッ…と音を立てて、俺の耳元にキスをした。

「……」

「ね?」

「…も一回。」

チュッ。

顔を向けて、そのキスを唇にもらう。

「もう…」

「ちょっとだけ。」

「ちょっとになんないよ…いないってバレる…」

「どうせみんな酔っ払ってて気付きゃしねーよ…」


紅美を抱きしめながら…思った。

絶対親父に殴られる事は想定済みだったはずの海。

今愛し合ってんなら、酔っ払って結婚したなんて言わなくてもいいのに。

…バカ正直な奴。


殴られても、反対されても。

それでも、咲華と愛し合ってるって言った海を…

羨ましく思う俺もいた。

紅美が何て言おうと…

陸兄を黙らせて奪いたい気持ちはある。

だが…

紅美はずっと色んな事で傷付いて来た。

だから…紅美の幸せは、出来るだけ…反対されない形をとりたい。


…仕方ねーな…

終わったら…

大部屋行くか。


「えっ、まだすんの?」

「もう一回。」

「いい加減大部屋行こうよ~……」

「…もう一回。」

「…行く気ないでしょ。」

「もう一回したら行く。」

パン。

「……」

紅美に両手で頬を挟まれる。

「どうするの。」

「……」

「さ、行こ。」

「……」

紅美がベッドから降りて。

「早く。ほら、服着て。」

脱ぎ散らかしてる俺の服を投げた。

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