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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/03 16:49:50

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大部屋にいた、あたしとお兄ちゃんと聖、そしてお風呂に入ってる父さんと母さんのスマホが一斉に鳴って。

メールを開くと…

『咲華です。元気です。心配かけてごめんなさい。旅立たせてくれて、ありがとう。週末に帰ります』

お姉ちゃんから…!!


お姉ちゃんが旅立って、今日でちょうど一ヶ月。

一ヶ月は連絡しないで欲しい…って言われた時、すごく心配だった。

でも…きっと、誰にも触れられたくなかったんだよ…傷口に。

あたしも、詩生と色々あった時、アメリカに逃げたから…分かる。


「ちゃんと覚えてたんだね。」

あたしがお兄ちゃんと聖に言うと。

「てか、一括送信って。」

聖がボヤいた。

「しかも週末って、ザックリすぎんだよ…」

お兄ちゃんもそんな事を言いながら、みんなのスケジュールが書き込んである大きなカレンダーに目をやった。


『お姉ちゃん、元気で良かった!!帰って来るの待ってる!!お土産も♡』

あたしはすぐにお姉ちゃんに返信。

本当はお土産なんてどうでもいいんだけど、あたしがアメリカから帰った時も…お姉ちゃん、あたしの事すごく優しく迎え入れてくれたから…

出来るだけ、普通に…お姉ちゃんの事、待っていたい。


「あー、あちー。」

そこへ、父さんがお風呂から上がって来た。

「父さん、お姉ちゃんからメール来たよ。」

「…そうか。」

上半身裸で、頭にタオルを乗せたままの父さんは、たぶん朝からずっと気にしてたはずなのに。

そっけないフリして座ると、さりげないつもりなんだろうけど…すごくソワソワして見える感じでスマホを手にして。

「……」

無言でメールを読んで、あたし達を見渡した。

「…ま、咲華らしーよな。一括送信。」

お兄ちゃんはフォローのつもりで言ったんだろうけど…

「…義母さん達にも一括送信か。」

父さんはそんな事をつぶやいて…少しガックリした。

そこへ…

「えー?咲華からメール?ちゃんと覚えてたのね。ちょうど一ヶ月だもんね。」

母さんが嬉しそうにメールを開いて。

「お土産頼んじゃおうっと。」

そんな事を言いながら…楽しそうに返信した。

「千里、返信した?」

「…別にいーだろ。」

「どうして?待ってたんじゃないの?」

「…おまえが返信したなら、俺はいい。ビール。」

母さんは「やれやれ」って顔をして立ち上がると。

「ビール飲む人ー。」

冷蔵庫の前で、みんなに聞いた。

「俺、先に風呂入るわ。」

お兄ちゃんがそう言ってお風呂に向かって。

「あ、俺飲む。」

聖が手をあげて。

「あたしはジャスミンティーにしようかな。」

あたしは、母さんの隣に行って。

「…父さん、あれ、落ち込んでるよね。」

小声で言った。

「…そうね。このままだと週末が怖いから、華月…よろしく。」

「え?あたし?母さんとベッタリすれば機嫌良くなるんじゃないの?」

「最近は華月の事も早乙女家に取られてるって思ってるから、ちょっと優しくしてあげて?」

そこかー。


でも…そうだよね。

お姉ちゃんが旅に出て、父さん…ちょっと元気なくなった。

そこに、あたしは…詩生んちに入り浸ったりして…

詩生のお父さんからも、『神さん最近元気ないから、華月ちゃんのパワーで元気にしてあげて』って言われたっけ…


「父さん、明日時間ある?」

父さんの隣に座って問いかけると。

「明日?」

父さんはカレンダーを見て。

「明日はー…夕方からだな。」

元気のない声で言った。

あたしは明日はオフ。

本当は、午後からのDEEBEEのミュージックビデオの撮影を観に行こうかなって思ってたけど…

「買い物行かない?」

父さんの顔を覗き込んで言ってみる。

「…買い物?何の。」

「…嫌ならいいもん。」

「嫌とは言ってない。」

「……」

煮え切らない父さんの返事に、ついイラッとしてしまった。

母さんを振り返ると、目を細めて『頑張れ』って口パク。

うーん…あたし、そんなに根気強くないし。

「…じゃ、気が向いたらでいいや。あたし、オフだから家でゴロゴロしてるから連絡して。」

小さく溜息をつきながら、お茶を持って立ち上がる。

父さんはあたしに甘いけど…お姉ちゃんの事、大好きだから…今はお姉ちゃんの事が気になって仕方ないんだよね?


あたしが定位置に座ると、聖も目を細めてあたしを見てた。

何よ。

別に。

そんな感じのアイコンタクトをしてると…メールが来た。

「あ、お姉ちゃんからだ…」

『似合いそうな物を見付けてあるから待っててね』

それを読んで嬉しくなったけど…どうもあたしに一番に返信があったみたいで、父さんと母さんと聖から注目されてる事に気付いた。

「あたしは…ほら、返信したから…」

すると、母さんと聖のスマホも鳴って。

お風呂に入ってるお兄ちゃんのスマホも…鳴った。

…聖とお兄ちゃんも返信したの?

何となく…あたしと母さんと聖の視線があやふやな感じになってると…

「…寝る。」

父さんが、ビールを一気に飲んで立ち上がった。

「えっ、でも…まだこんな時間だよ?」

あたしがテレビをつけて。

「何か…そうだ。LIVE Alive観ようよ。」

そう言うと…

♪♪♪

父さんのスマホが鳴った。

「……」

みんなで無言になると…父さんは立ったままゆっくりスマホに目を落として…

…少しだけ、目元を緩めた。

「…千里、もう一杯飲む?」

母さんが立ち上がる。

「…ああ。」

父さんはゆっくり座って。

「明日、香津で昼飯食って買い物行くか。」

いつもと変わらない様子であたしに言ったけど…

香津に誘ってくれるって事は、ゴキゲンのはず。

「うん。行く行く。」


結局…お風呂上りのお兄ちゃんも交えて、深夜までLIVE Aliveを観た。


週末…

お姉ちゃんが、笑顔で帰って来れるといいな…。

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