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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/03 10:52:42

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…何なの。

何なの。

何なのよ。

あたしが…

あたしが決めた事よ。

そう。

あたしが決めた事。

志麻と、二階堂のために生きる。って。

だから、後悔なんてしてない。

志麻の事、普通に好きだし。

文句ない。

なのに…志麻、あたしの事試してる?

薫平と会ったって言われて、ちょっと動揺した。

それでなくても…

昨日、薫平に会って…揺れてるのに。

…どうせあたしは素直じゃないわよ。

でも…それでも…

すごく考えて、こうしたのに。

ああ、もう…

なんでうちの両親、あたしと志麻を許嫁にしてくんなかったんだろ。


「おはようございます。」

今朝はシモンズに寄らずに、本部に直行した。

エレベーターの前で声を掛けられて振り向くと、コーヒーを二つ持ってる富樫だった。

「おはよ…」

「おひとつどうぞ。」

「…あたしに?」

「お嬢さんが通り掛かられたのが、オーダーしてる時だったので。」

「…ありがと。」

今日は久しぶりに現場が多いのか、ロビーには人が少なかった。

乗り込んだエレベーターにも、珍しく二人だけ。

「…何かあったのですか?」

富樫が首を傾げた。

「……何もないよ。」

うん…何もないよ。

何もないんだけど…

泣きそうだ。

唇を尖らせたいわけじゃないけど、泣きたいのを我慢したら…そうなった。

少しうつむいてしまうと…頭に感触があった。

「…少し、頑張り過ぎていらっしゃるのでは?」

そう言って…富樫が、頭を撫でてくれてる。

「たまには満足いくほど美味しい物を食べて、景色の綺麗な場所で深呼吸をして、大きな口を開けて笑ってみられてはいかがでしょう。」

「……」

「お嬢さんは…一人で何かを背負ってらっしゃるように思います。」

「…そんな事、ないよ…」

あたしなんて…何も背負えない。

二階堂のために、二階堂のために…って頑張ってるつもりでも…

所詮、あたしは駒の一つに過ぎなくて。

それで満足してるつもりなのに…仕事に関しては貪欲過ぎるのかな…あたし。

もっと現場に出たい。

もっと危険な現場を任されたいって思うのに、それは叶わなくて。

なんで男に生まれなかったんだろ…って、ひがんじゃう。

自分の能力を買いかぶり過ぎてるのかもしれない。

ちゃんと…自問自答して、いつだって気持ちを新しくして、現場に向かうのに。

終わった時にはいつも…虚しさを感じる。

…あたし、危ない奴だ。


「…お嬢さん…」

富樫に頭を撫でられてると…泣きたくないのに涙が出て来た。

あー…富樫困るよね…

あたし、急いで涙を拭おうと…

ガタン。

急に、エレベーターが停まった。

「……え?」

あたしが顔を上げると。

「扉が開いたら、仲間がいます。」

「……」

「…今は私しかいません。それに…私は背中を向けているので…何も見ておりません。」

そう言って…緊急停止のボタンを押したポーズのまま…あたしに背中を向けてる富樫。

「ゆっくり…気持ちをお静めになって下さい。」

「……」

富樫のくれたコーヒーを、一口。

尖った唇は…なかなか直らない。

だって…なんて言うか…

富樫の優しさが、沁み過ぎた。


「…あんた、余計な事し過ぎ…」

あたしがそうつぶやくと。

「あっ、す…すみませ…」

謝りかけた富樫の言葉が止まる。

あたしは富樫の背中に頭をぶつけて。

「…ありがと…富樫…」

小さな声で…つぶやいた。

心から、ちゃんと…感謝した。

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コメント1

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  1. マコトさん(29歳)ID:6609280・10/03

    頑張れガッシー!!

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