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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/02 22:59:57

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「お待たせいたしました。」

目の前にモーニングセットのトレイが置かれて、見上げると笑顔の富樫がいた。

「ありがと。」

「いえ。いつもここで召し上がるのですか?」

「前に来た時は、かなり通ったかなあ。」

「ここはクロワッサンが絶品ですね。生地から香るバターが上質な感じでたまりません。」

富樫は…花の中途採用組だからか、感受性が豊だなって思う。

志麻も瞬平も、食べる事にはあまり興味がないからな…

美味しい物って言われて漠然と店の名前は出て来ても、そこの何がどう美味しかった。なんて…興味ないはず。

食い意地が張ってるって言われるあたし以外、二階堂の人間は、だいたいそうか…。


「…志麻の様子は、どうですか?」

富樫が遠慮がちに口を開いた。

あたしや志麻みたいに単発で来る者はホテル住まいだけど、富樫みたいに兄貴とこっちに居る事が長い者は、個々に家を借りてたりする。

富樫も最初はホテルだったけど、去年からこの一本裏にアパートを借りてるらしい。


「んー…何とも言えない感じかな。」

ベーコンを口にしながらそう言うと、富樫が一瞬目を丸くした後…なぜか赤くなってうつむいた。

「…何。」

「いっ…いえ、あの…」

「ん?」

「…その…」

「何よ。」

「…シャツのボタンを…もう一つ留められた方が…」

「……」

富樫に言われて、あたしは自分の胸元を見下ろす。

一昨年の誕生日に、父さんからもらったネックレス。

その少し下に…

「……」

あたしは無言でボタンを一つ留めた。

…キスマーク。

気付かなかった。

志麻め…

なんだって、こんな目立つ所に…!!


そのまま無言で食べ進める。

富樫も…こういうの免疫がないわけじゃないだろうに、なんだってうつむいてんだよ!!


「…お嬢さん。」

二人とも食べ終わって、富樫がコーヒーのおかわりを持って座った瞬間、口を開いた。

「何。」

「…その…」

「うん?」

「…本当に、志麻と…お付き合いされるのですか?」

「……」

あたしは首を傾げて富樫を見て。

「昨日言ったよね?」

確認した。

「………」

富樫はそんなあたしの目を見て、少し唇を噛んで。

「…失礼しました。」

軽く…頭を下げた。

…兄貴には仕方ないとしても…

富樫にもバレバレなわけ?

あたし、そんなに分かり易いのかな…


「志麻は…不器用ですが、いい奴です。」

「…分かってるよ。」

「あっ、そうですね。お嬢さんの方が、志麻とは歴史がありますね。失礼しました。」

変なの。

そう思いながら、コーヒーを飲む。

窓の外に目をやると、通勤ラッシュは少し落ち着いて来てて。

早くも秋物を着てる人の姿も目に付いた。

姉ちゃんは色んな種類のスカートを穿いたりして、オシャレをするけど…

あたしは普段着も、あんま変わらない。

白いシャツに黒のスーツ。

二階堂の制服みたいなもん。

それを着慣れ過ぎてて。

それに愛着もあり過ぎてて。

オフの日に着る服も、さほど変わりがない。

まあ、家でゴロゴロしてるだけなら?

Tシャツにスウェットとか、そんなのでやり過ごすけど。

…オシャレに興味がない女なんて、つまんないな。

ほんっと、薫平の方が女子力高かった…


「……」

つい、目をゴシゴシと擦る。

今、薫平の事を想ったからか…目の前を歩いてる猫が…

「…おはじき?」

あたしが小さな声でつぶやくと。

「おはじき?」

富樫が繰り返しながら窓の外を見た。

そして、次の瞬間…

バン!!

外から、窓ガラスにへばり付いたのは…

『泉!!』

……薫平だった。

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