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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/02 19:12:20

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「……」

「……」

トシが事務所に出かけると言って家を出て。

俺は…いつもみたいに咲華の腰に手を回して、額にキスを…しようとしたのだが。

「あー。」

リズの声だけが、リビングに響く。


富樫と泉と志麻とで本部に戻り、まだ仕事中だが…どうしても咲華の様子が気になって考え込んでしまっていると。

「ボス、ご自宅にお忘れではないですか?」

突然、富樫がそう言った。

「え?」

俺が首を傾げると。

「ああ、やっぱりお忘れになってますね。私がお渡しした資料の封筒です。」

富樫は、俺の部屋を見渡して言った。

「……」

資料の封筒など渡されていない。

だが富樫はやたらと笑顔で。

「夕方までにはお戻り下さい。私と共に報告書を書いていただかねばなりませんから。」

そう言って…俺の背中を押した。

「…富樫。」

俺が首だけ振り返って呆れた顔をすると。

「あんな事があった後です。奥様も心細い思いをされているかと。」

富樫は小声でそう言って、エレベーターのボタンを押した。

…富樫の気遣いに感謝して、俺は家に帰った。

そして…玄関のドアを開けかけたその時、トシが階段から降りて来て。

「……」

「……」

なぜか、俺に向かって。

口の前に人差し指を立てたんだ。

…黙ってここに立ってろ…と?


「…全部、聞こえてたの?」

咲華が唇を尖らせる。

「……いや、全部は聞こえてない。」

とは言っても…ドアの前に立ってからは全部聞いてしまった。

たぶん…咲華の言う『全部』の…全部だと思う。

トシが『一つ確認なんだけどさ』と言って。

咲華は次々と、今現在の気持ちを口にした。

志麻に戻りたい気持ちはないが、心配な事。

それは当然だと思う。

そして…

俺に対する気持ち…

「…手が震えてたの、バレたか。」

咲華の手から、リズを受け取る。

リズは手にした人形を俺に見せて、満面の笑み。

俺もそれに笑顔で応えながら…

「カッコ悪いな。」

咲華の顔を見ずに言った。

「カッコ悪いなんて……あたしには…最高にカッコ良かった…」

「……」

「あたしとリズちゃんの事…心配してくれてるって…」

「当然だろ?」

「その当然が…嬉しかったの…」

咲華がゆっくりと腕に来る。

俺は右手で咲華を抱きしめると、額にキスをして。

「…富樫が気を利かせて夕方まで時間をくれた。」

耳元で言った。

「……」

咲華は上目使いで俺を見ると。

「…リズちゃん、ミルク飲んでお昼寝しよっか。」

クスクスと笑いながら…リズの頭を撫でた。

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