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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/02 12:14:10

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志麻に閉じ込められて、本当は気が気じゃなかった。

早くここから脱出しなければ、咲華とリズの身が心配だ。


…志麻を傷付けた。

まずはその事が大きな傷となった。

あんな志麻は初めて見た。

叫びながら俺と富樫をデータ室に閉じ込めて…恐らくうちに向かったはずだ。

あんなに冷静な男が…大声を発して…

もし…志麻が、この事で生きているのが嫌になってしまっていたら…

…いや…

志麻は…咲華を傷付けるような事はしない。

今も咲華を愛しているなら…なおさらだ。

今は…志麻を信じるしかない。


富樫には車を取りに行かせ、俺は一度階上に向かった。

部屋に入るまでの間…外から帰って来た数人がバタバタと建物内を行き来していた。

志麻は恐らく瞬平が試作品として持って来ていた超音波を使ったのだろう。

俺や親父ぐらい耳のいい者なら、すぐに気付いて対処出来るが…

きっと、ほぼ全員が眠っているはずだ。


「ボス!!これはいったい…」

外から帰って来た部下が慌てたようにフロアを見渡す。

「心配するな。事件でもテロでもない。地下のシャッターが誤作動して、その際に試作品が起動してしまった。」

「え?誤作動…ですか?」

「ああ。上の階に行ってその旨を伝えてくれ。眠ってる者も、あと10分もすれば目覚めるはずだ。報告書は俺が後で書く。」

「分かりました。ではそのように対処いたします。」

「頼む。」


志麻が…どんな人間になっても…

俺は志麻を失いたくない。

志麻にとって、俺が敵になろうとも…


「ボス!!こちらです!!」

裏口に出ると、ちょうど富樫が車を回してくれた所だった。

「すまない。」

そう言いながら助手席に乗り込むと。

「謝るのは私の方です。志麻が普通じゃないと気付いていながら…対処できませんでした。」

富樫は真剣な顔でハンドルを切った。

「飛ばします。」

「…頼む。」


見慣れた景色が、ものすごいスピードで流れて行く。

こんな風に、こんな気持ちで我が家に帰るのは…初めてだ。

できれば…味わいたくなかった。

それも全て…俺のまいた種なのに。


…咲華…リズ…

今ではもう、俺にはなくてはならない存在の二人。

この一ヶ月で、俺は…自分がどれだけ誰かを愛したがっていたのかを、思い知らされた気がする。

こんなに…誰かを愛する喜びを、教えてくれた二人。

どうか…無事でいてくれ…


…志麻…頼む…

おまえに、まだ咲華に対する愛が残っているなら…

咲華を…

咲華を、不幸にしないでくれ。

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