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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/02 10:37:17

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「…酔っ払って…ボスと結婚して…血の繋がりのないその子と……」

「……」

さっきまで…怖いって思ってたのに。

あたしは、しーくんから目を離せなくなった。

付き合ってた頃には見せてくれなかった顔…

こんなに…溢れんばかりの涙…

…こんなに…

こんなに苦しんでたの…?


「…幸せなのか?これは…俺と…創るはずだったものじゃないのか…?」

「しーくん…」

とうとう涙がこぼれ落ちてしまって…しーくんはうつむいた。


「俺が…どんなに咲華を愛してたか…それを今…いくら話したところで…届かない…」

「……」

「届かない…仕方ない…俺は本当に…咲華をずっと待たせて……」

「……」


それから…少しの間沈黙が続いた。

リズちゃんは笑わないあたしを不思議そうに見上げて、キョトンとしてる。


…どう声をかけたらいいの…?

あたしは…確かに目の前にいるこの人の事を…有り得ないぐらい愛してた。

あたしにはもったいない、カッコ良くて優しい人…

しーくんの隣に居る自分を好きになれるよう、頑張ろうって思えた。

一緒に行った『あずき』や、ほんの少しの間だったけど…仕事で借りたマンションでのお泊り。

教えてもらった…あの景色。

小さくても力強く光る家々の輝き…

あの夜景を、あたしは…今も簡単に思い出せる。


あたしは…本当に、この人の事が大好きだった。

その指先の動きまでを、愛しく感じていた。

しーくんの触れる物すべてを、羨ましいなんて…

それほど…本当に大きな気持ちを持てた。

まさか自分から別れを告げるなんて、もしかしたら、海さんと酔っ払って結婚した事より…驚きだ。


…だけど。

それほどの事だったのよ。

あたしの中では…

それほどの…事だったのよ。

大好きだったからこそ…

小さなシミのような点は、連絡を取れない日々が続くほど…大きく育ってしまった。

朝子ちゃんを大事にするのは当たり前。

そう思うのに…

あたしより大事なの?

どうしてあたしを優先してくれないの?なんて…

自分が醜く思えて仕方なかった。

こんなの、どうって事ない…って。

そう言い聞かせる強さが…

あたしにはなかった。

しーくんを…

信じ切れなかった。


「…昨日…ある事件のデータを…調べるために…こっちに来て…」

しーくんが、うつむいたまま…低い声で話し始めた。

その声に反応したのか、リズちゃんがしーくんの方を向いて手をパタパタとさせる。

「それを…見て…ついさっき…ボスに…ボスに会う寸前…その子の事を…思った…」

「…え?」

しーくんは顔を上げてリズちゃんを見ると。

「…リズ…俺が…その子を…孤児にしてしまったんだ…だから…俺がその子の父親になりたい…って…」

手をパタパタさせているリズちゃんに…手を差し伸べた。

驚いたあたしは、とっさにリズちゃんを抱きしめてしまって…

それが…


彼を拒絶した事に…なってしまった…。

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