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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/02 09:33:22

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「……その子は…」

しーくんの視線が、あたしの腕の中にいるリズちゃんに向けられた。

「…覚えてる?しーくんが助けたんだってね。」

あたしはリズちゃんの顔を覗き込みながら。

「リズちゃん、リズちゃんの命を救ってくれたお兄さんよ?」

そう言って…身体の向きを変えて、リズちゃんの視線がしーくんに向くようにした。

「……」

しーくんは…リズちゃんを見て、あたしを見て…リズちゃんを見て。

…目を細めた。


「…お茶飲む?」

「……」

「あ、その前に…車、そこだと邪魔だから…ガレージに入れてもらえる?」

あたしの言葉に、しーくんは少しの間無言で立ち尽くしてたけど…

やがて…ゆっくりと車に乗ってガレージに移動した。

あたしはそれを見届けて…家の中に…

「……」

テーブルの上に置いてたスマホのディスプレイに、海さんからの着信が何度も…

それを手にした途端、メールが入った。

『志麻に閉じ込められた。あいつ、家に向かうかもしれない。気を付けて。』

「……」

閉じ込められた?

海さん、無事なの?

返信をしようとしたけど…あたしは一度外を見て、スマホをポケットにおさめた。

しーくんはもうそこまで来てる。

…刺激しない方がいい。


リズちゃんを抱えたまま、キッチンでお茶を入れる。

テーブルにそれを置いた頃に…しーくんがゆっくりと家に入って来た。

リズちゃん用にリンゴジュースも用意して…あたしは椅子に座る。


「…お茶、どうぞ。」

「……」

しーくんは…リビングの入り口に立ったまま、あたしを見てる。


「あー。」

「ん?飲む?」

リズちゃんにジュースを飲ませてると…ゆっくりと近付いてくる人の気配がした。

あたしはあえて驚いたり怯える事はしなかった。

…内心…とても怖いと思ったし、罪悪感も…すごかったけど…


「……なぜ…」

とても長い沈黙が続いた後…しーくんが、口を開いた。

「なぜ……」

口を開いたものの…それ以上の言葉が出て来ることはなくて。

あたしは、リズちゃんの口元をガーゼタオルで拭きながら。

「…しーくんが…話し合いたいって言ったのに、一方的に電話を切って…ごめんなさい。」

顔を見ずに言った。

「……」

「きっと…あの後で会って話したら…あたし…きっとまたあなたと付き合ってたと思う。」

本当に。

「…もう、戻りたくなかったの。何かを疑ったり…何より…あなたを嫌いになりたくなかった…」

「……」

顔を見るのが怖くて…あたしは下を向いたまま。

あたしを見上げるリズちゃんに小さく笑いながら…話を続けた。

「あなたをそう思う自分にも嫌気がさしたし…」

「…幸せなのか?」

ふいに問いかけられて、あたしは顔を上げた。

目が合うと…しーくんのうつろな目には涙がいっぱい溜まってて…

…あたしは…胸を刺されるような気持ちになった。

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コメント1

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  1. マコトさん(29歳)ID:6608801・10/02

    咲華ちゃん頑張れー!!!

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