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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/01 20:30:05

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俺に投げ付けて床に落ちた資料を、お嬢さんが拾い始めた。

…相手が辛いより、自分が辛い方がマシかなって。

そう言ったお嬢さんを…痛々しく思った。


俺の知る泉お嬢さんは…

二階堂家の末っ子で、甘えん坊で寂しがり屋。

その反面、現場で発揮する洞察力や身体能力、判断力や集中力は群を抜いて素晴らしく…

女性にしておくのがもったいない。と、どこに行っても賞賛されている。


いつまで経っても這い上がれない俺に付き合って飲んで…

咲華の名前を呼ばれながら抱かれて…

自分だって同じだから気にするな、と。

…俺はなんて情けない男なんだ…と、自己嫌悪にも値しないほどの想いを持つと同時に…

お嬢さんの、不器用な性格と…

そうでありながら、とてつもない包容力に感動した。


「…えっ?」

気が付いたら…お嬢さんの腕を取って、胸の中に抱きとめていた。

何がどう…と言うわけではないが、そうしたかった。

「……」

「……」

お嬢さんも特に何か言われるわけでもなく…

しばらくそうしていると、背中に手が回って…ポンポンとされた。

「……志麻。」

「……はい。」

「…眠くない?」

「…そう言えば。」

「ベッド、連れてって。」

「…はい。」

そのままお嬢さんを抱えてベッドへ。

正直…咲華と別れて、ちゃんと眠れた日がない。

「ふぁ~…」

ベッドに降ろすと、お嬢さんは大げさなぐらいに欠伸をして。

「眠れなくても死にゃしないけど、残業はほどほどにね。」

俺が眠る気がないのをお見通しだったのか、そう言って…すぐに目を閉じた。

「……」

眠れる気はしないが…隣で横になってみる。

…本当なら、大問題だ。

お嬢さんと寝て…今もこうしてベッドで隣に横になっている。

うちの両親が知ったら、頭と姐さんに土下座どころか…死ね‼︎と言われかねない。


「……」

お嬢さんの寝顔を見つめる。

この人も…二階堂でなければ…

今頃、桐生院の名字を名乗る事が出来ていただろうに…


咲華の名前を呼びながら抱いてしまった事を、とても後悔した。

自分の異常さにも…嫌気がさした。

早く…立ち直りたい。

そう思うのに…

俺はそれからもしばらく、闇の中に一人で立ちすくんでいるような感覚のままだった。

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