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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/01 17:09:51

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「あの頃の千里さん、もう…咲華と華音の事、目に入れても痛くないって顔してた。」

おばあちゃまがすごく笑顔で言った。

「可愛くてたまらないって。仕事の合間にコッソリ会いに来て…要らないって言うのに、毎回服やオモチャを持ってね。」

母さんに内緒で、家族全員が…父さんを応援して。

父さんのF'sが成功した時…母さんも…やっと素直に父さんの愛を受け入れる事が出来た…と。


あたしと華音の誕生日より、両親の結婚記念日が後で。

それを知った時、あたしと華音は少しショックを受けた。

『あたし達って…父さんの子供?』

昔…母さんに、そう聞いたっけ…


「千里さん…戸惑ってるのよ。咲華の事、本当に可愛くて仕方ないのに…咲華にはそれが伝わらないって。」

「…だって…父さん、華月には甘いのに、あたしには厳しいから…」

「華月とは事務所でも会うけど、咲華とは朝と夜しか会わないでしょ?だから、出来るだけ顔を合わせたいって思ってるみたいなんだけどね…咲華にだって、都合はあるものね。」

「……」

うちは…みんな生活スタイルが違う。

唯一のOLであるあたしが出勤する頃、華音と華月が起きて来る。

だけど…

父さんと母さんは…

あたしに合わせて起きてる。

何を話すわけでもないけど…

一緒に朝食を摂る。

…一緒に…。


「ただでさえ可愛くてたまらない娘が傷心旅行で海外に行くってだけでも大事件なのに、連絡を取らないって宣言されちゃあ…千里、涙も出ないほど落ち込んだだろうな。」

あたしは…

強くなりたい。

もう、待つだけの恋や、自分を抑える恋はしたくない。

そのためにも…この傷を早く癒し忘れたい。

そう思って…

腫れ物に触られたくなくて…

「一ヶ月、連絡取らない。」

みんなの前で宣言した。

「バカ言うな。」

父さんは怒ったけど…

あたしは、それなら携帯は持って行かない。と、言い張った。

緊急な連絡だけは取れるよう…約束はした。


「…あたしと華音が小さい頃のビデオ見てた…」

小さく溜息をつくと。

「…志麻さんの事…待ってたのは、咲華だけじゃないのよ?」

おばあちゃまがそう言った。

「…え?」

「千里さんも…待ってた。いつ咲華をもらいに来る気なんだろうって。」

「……」

「自分の事が怖くて来ないんだったら、それまでの男だ。ってボヤいてたけど…信じてたと思う。だから、ショックなんだと思うわ。二人が別れた事。」

あたしは…少しだけ、父さんのせいにもしてたのに。

そんな風に思ってたなんて…


「でも…本当にいいのか?」

おじいちゃまがそう言うと。

「なっちゃん。咲華はもう進もうとしてるんだから…あたし達は見守るだけよ?」

おばあちゃまが優しく笑いながら言ってくれた。

…うん。

正直…まだずっと…モヤモヤはしてる。

縁がなかった。って言い聞かせて…

彼が朝子ちゃんの方を向いてたから…なんて、思いたくないあたしがいる。

…朝子ちゃんに負けた気がするのが…嫌なのかもしれない。

かもしれない…じゃない。

あたしは、いつだって悔しかった。

あたしより朝子ちゃんって…無意識にでも妹を優先してた彼に、辟易としてた。

それさえなければ…あたしは待つ事は苦じゃなかったのに…

…こんな事、口が裂けても誰にも言えない。

何より…わずかしか持ち合わせていない自分のプライドが…許さない。

…つまんないプライド…


「どこに行くの?」

「治安の悪い所はやめとけよ?」

「もしアメリカに立ち寄るなら、カニの美味しいお店があるわよ?」

「カプリか。懐かしいな。」

「あたしは去年華音と行ったけど。」

「何?聞いてないぞ?」

「ついでに、ステージで歌っちゃった。」

「はあ?おまえ…俺の入院中に、どれだけ自由を…」

「ふふっ。」

二人の会話を黙って聞きながら。

あたしにも…こんな風に大好きな人と笑える日が来るのかな…って思った。

大好きな人…


…好きな人なんて…

もう、要らない。


恋なんて…


もう、いい。

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