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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/10/01 09:42:43

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「…ちょっといいかな。」

晩御飯の後。

今日は珍しく聖も早く帰ってて、久しぶりに家族全員が揃ってる。

そこであたしは…全部話す事にした。

「なあに?」

母さんはみんなにお茶を入れながら首を傾げて。

父さんは読んでた新聞から顔を上げた。

華音と華月は…少し顔付きが真剣になって…

…聖もどちらかから聞いたのかな。

真顔であたしを見てる。


「あたし…彼と別れた。」

背筋を伸ばしてそう言うと。

「…えっ?」

少し間があって、母さんが身体を乗り出した。

「彼と別れた…って…志麻さんと?」

「うん。もう…待ち疲れちゃって…」

「……」

あたしの言葉に、母さんは父さんの顔を見た。

父さんは、あたしの目を見たまま…何も言わない。

「それと…会社も辞めた。」

「は?」

さすがに…それには父さんが一番に反応した。

「何で会社を辞める必要がある。」

「…こんなの話しても、誰にもわかってもらえないかもしれないけど…」

あたしは母さんが入れてくれたお茶を一口飲んで。

「毎日…同じ時間に起きて同じ時間に出社して、渡された仕事をこなして、時々残業して、家に帰ってご飯食べてお風呂に入って寝る。これが…あたしの日常。」

ゆっくりと…話し始めた。

「そんな中で…彼と出会って恋をして…婚約して……」

「…お姉ちゃん…」

華月が、あたしの腕に手を添えた。

「あたしは、ごく普通のOLで、ごく普通に生活してて。だけど彼は二階堂っていう特殊な環境に生まれ育った人で…それを理解してるつもりで、これからは結婚して新しい生活が始まるって…ずっと期待してたんだと思う。あたし、少し普通じゃなくなるって。」

普通が嫌なわけじゃない。

むしろ、どれほど幸せな事かと思う。

あたしは、普通の中にいて…それでも普通に幸せな結婚が出来なかった。

だから…憧れたんだと思う。

しーくんみたいな…どこか影のある、素敵な男の人に。


「彼は仕事に誇りを持ってた。だから…待ち疲れたあたしの負け。正直…すごくダメージ大きい。別れたのに…一粒の涙も出ない。」

「…とっくに終わってたからじゃねーのか。」

父さんが低い声で言った。

「…そうだよね。そうかも。でも、最後の電話で彼がチャンスをくれって言ったのを聞いて…もしかしたら…って、また思っちゃうあたしもいたの。できる事なら、やり直したいって…懲りもせず…また思っちゃった。」

「…やり直したいって思ったのに、別れて良かったの?」

母さんが、言葉に詰まりながら問いかけた。

「…あたし…彼に対して物分りのいいフリばかりしてた。全然、あたしがあたしでいられなかった。」

「……」

「好きだから望みたい事もたくさんあったのに…望まなくていいって、自分で自分に蓋してた…」

あたしが全然泣かないのに…

隣で華月が泣き始めた。

そんな華月の頭を、華音がポンポンってして。

「ま、もう決めたんなら新しい仕事探して新しい男も見付けりゃいーさ。」

小さく頷きながら言った。

「あー…しばらく恋はいいかな…まだ全然癒えてないし。」

「……」

「それで…あたし、少し旅に出たいんだけど。」

本当は面倒な話は全部除いて、いきなりこれだけを切り出したしたかったんだけど。

さすがに父さんに反対されるかなー…って思って、真面目に、正直に話した。

だけど…

「どこへ。」

父さんは…腕組みをして、とことん低い声。

「…さあ…どこか外国。」

「ダメだ。」

「千里…頭ごなしに言わないで。」

「だいたい、男と別れて会社を辞めて外国へ旅行だと?そんなの、隙だらけの自分を誰かに見付けて欲しいって言ってるようなもんじゃねーか。」

父さんは斜に構えて、冷たい口調。

…どうして…父さんはいつも、あたしにだけこんなに冷たいんだろう。

華月には、もっと寛大って言うか…

甘いのに。

あたしが、業界人と恋をしなかったから?

父さんのお気に入りと、出会わなかったから?

考えてるとムカムカして来た。

本気で嫌いなわけじゃないけど…今は少し離れたい。

この家から。

父さんから。

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