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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/30 18:45:41

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イライラした。

しーくんにも…自分にも。

特別な環境で生まれ育ったんだから…家族の仲がいいのは当然なんだよ…

ううん…

家族仲がいいって言うんじゃなくて…

絆が強いんだよ…

…うん。

あたしが思うような事じゃないよ…って言い聞かせようとするのに…

だけど…と。

だけど…きっと、しーくんは…

朝子ちゃんを一人の女性として見てる…


ベッドに横になってスマホを手にしてみると…

しーくんから着信。

「……」

寝てた事にしようかな…


今日は…会社の下で待っててくれて。

一ヶ月ぶりに会ったのに…

もう、あたしの気持ちが追い付けなくて。

朝子ちゃんに対する嫉妬心しか湧かなくて。

しーくんに、冷たい事しか言えなかった。


ダッシュボードには婚姻届。

あたしが名前を書けば…ずっと待ち焦がれてた幸せが手に入ったかもしれないのに。

…嬉しさより苛立ちが勝った。

また明日話そうって送られて…

あたしは…抜け殻状態だ。


仰向けになって、天井を眺める。

そして…あの日の事を思い出した。



あの日、あたしは…婚姻届をしーくんの前に出して。

「入籍だけでも…どうかな。」

そう…言った。

あたしは以前、電話でそれを切り出した事がある。

だけど、しーくんは…何も言ってくれなかった。

ただ…

何が不安なんだ?って。

そんなの……

…全部に決まってる。


女のあたしから切り出すのは…どうかなって…思いもあって。

婚姻届から、目を上げられなかった。

恥ずかしかったし…

怖かったから。


だけど…次の瞬間…

「…朝子!!」

「……え?」

しーくんは、朝子ちゃんの名前を叫んだかと思うと、走ってお店から出て行ってしまった。

状況がつかめずに、お店の外を見ると…

自転車が…転がってた。

朝子ちゃん…?


あたしは人の波をかきわけて、倒れてる朝子ちゃんと、その朝子ちゃんのそばにいるしーくんに駆け寄った。

だけど…

しーくんは、一度もあたしを振り返らなかったし…

何の躊躇もなく…駆け付けた救急車に乗って、行ってしまった。

一人残されたあたしは…テーブルに残されてた婚姻届をバッグに詰め込んで。

タクシーを拾える通りまで出ると、それに乗り込んで大学病院に向かった。

この辺りでの事故なら、きっとそこだ…って思ったから。


病院の前でタクシーを降りて、しーくんを探す。

なかなか見つからないかなって思ったけど…彼の姿はすぐに見つかった。

救急処置室の前…険しい顔で…見えるはずもないドアの向こうを見つめてる。

「……」

声を…かけられなかった。

こんな顔のしーくん…初めて見る。

あたしはしばらく立ちすくんでしーくんを見つめたけど…

彼はあたしに気付かなかった。

処置室の中から声がかかって、しーくんが慌てたように中に入るのを見届けて。

そして、そこから…数人の笑い声が聞こえて少しホッとして。

あたしは…家に帰った。


しーくんが好きなのは…


あたしじゃない。

朝子ちゃんだ。

ずっとずっと…昔から。

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コメント2

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  1. アネリさん(99歳)ID:6608166・09/30

    まじかー。(*_*)

  2. マコトさん(99歳)ID:6608164・09/30

    一部始終を泉ちゃんに知らせたいー!

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