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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/30 08:41:22

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「…急に会いたいって…どうして?」

「え?」

「もしかして…別れ話なのかな…って…」

「まさか。」

カナールで待ち合わせてたが…

店の中から見える位置にあるカーブミラーに、咲華が映っていた。

店の外で、立ちすくんだまま…何か考えている様子だった。


確かに…このままじゃいけないって気持ちは強い。

だが…

俺から別れを切り出すなんて、あり得ない。

…あり得ない…か?

咲華の事を考えれば、俺から別れを切り出した方がいいに決まってる。

ずっとほったらかして…

咲華の夢を壊し続けている気がする。


なぜ…

結婚に踏み切れないのか、と、浩也さんに聞かれた。

それは…俺が二階堂の人間だから…

…それが一番なのかな…


もし、は…ないが。

もし、俺が二階堂の人間じゃなかったら。

咲華は、もうとっくに東の姓を名乗って。

すでに子供もいるかもしれない。

毎日決まった時間に出社して、少しの残業をして家に帰る。

休日には家族で出かけたり、ゆっくりとした時間を過ごしたり。

…それが、咲華の夢だとしたら…

俺には、叶えてやれない。

俺は二階堂の人間だし、危険な現場に出続ける。

…これからも。


「…咲華。」

ゆっくりと、咲華を抱きしめる。

「…ん?」

「いつも…ごめん。」

気持ちをこめて…抱きしめる。

愛してる。

この気持ちに嘘はない。

「…仕事大変なのに…あたしの事はいいから。」

「そんなわけにはいかない。」

「しーくん…」

咲華は俺の胸に顔を埋めて。

「…しーくんの匂い…」

小さくつぶやいた。

「汗臭い?」

「うん。」

「…_| ̄|○…」

「冗談よ。」

こうしていると…離したくないと思う。

そう思うのに…

現場に出ると、俺は咲華の事を忘れて命を懸ける。

…そんな俺は…

咲華に相応しい男なのだろうか…。


「…咲華。」

咲華の髪の毛を撫でながら、小さな街の灯りを見下ろす。

「ん?」

「…愛してるよ…」

額に唇を落とす。

もう…長い間、こんな事さえしていなかった。

電話を切る間際に、挨拶のような愛の言葉。

ちゃんと抱きしめて…気持ちを伝える事が、俺達みたいに会えない状態にある者には必要なのに…

朝子の事が心配だったのと…

ずっと引っ掛かってしまっていた事が、いくつかあって。

俺でいいのか…いや、俺でいいんだ…

そんな自問自答を繰り返しては、今の状態のまま…咲華を待たせてしまった。


「6月15日に帰る。」

「…うん…」

「帰ったら…入籍しよう。」

「…え…っ?」

咲華が驚いた顔をして、俺を見上げた。

「ずっと待たせてごめん。」

「…だ…大丈夫なの…?」

「何が?」

「だって…」

「今更って感じだもんな。本当…申し訳ない。」

「そんなこと…」

咲華は少しうつむいて、俺の胸に額をつけると。

「…嬉しい…」

小さくつぶやいた。

そのつぶやきを…大事にしなくてはと思った。

俺の幸せを後回しにするんじゃなく…

咲華の幸せを、早く…と思わなくてはならなかったんだ。

まだ…遅くない。

帰国したら…

咲華とちゃんと夫婦になろう…。

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コメント1

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  1. カオリさん(47歳)ID:6607998・09/30

    えーーーこんなに幸せだったのに…

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