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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/29 23:02:09

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-四か月前-


ドサッ。

ベッドに倒れ込む。


「…ラララ…ララ…」

横になったまま、何となく歌いたくなった。

両親共にシンガーだと言うのに。

双子の兄もギタリストで、歌唱力もバッチリだと言うのに。

あたしは音楽に興味がない。

だから、あたしの鼻歌なんて…すごく珍しいのかもしれない。

それが、こんな時なんて…ちょっと笑える。


あの光景を思い出すのが嫌で、あたしは目を閉じた。

…寝ちゃおう。

そして、楽しい夢でも見よう。


それから…本当に寝てしまった。

悲しい事があっても眠れちゃう自分に呆れながら、横になったまま投げ出してたスマホを手にした。

「…連絡なし…か…」

それがますます…あたしを悲しい気持ちにさせた。

…見なきゃ良かった…


辺りは暗くなってて。

もうそろそろご飯だなあ…なんて思った。

「…お腹すいた…」

小さく独り言。

そして、ゆっくりと立ち上がって、あたしは大部屋に向かった。


「あら、咲華。出掛けてたんじゃないの?」

大部屋に行くと、母さんが驚いた顔をした。

「うん…帰って寝てた。」

手を洗って、母さんの隣に立つと。

「…顔色悪いけど…大丈夫?」

母さんが頬に触れて言ってくれた。

「…お腹すいちゃったの。」

「ま、食いしん坊ね。じゃ、すぐご飯にしましょ。みんな呼んで?」

「うん。」


みんなの前では…普通に出来た。

いつも通り、たくさん食べて…笑った。

「おまえ、どれだけ食う気だよ。」

「うるさいなあ、華音。女の子が食べてるのを横でそんな風に言うと嫌われるよ?」

「女の子…28は女の子なのか?」

「何よ。じゃ、華音はもうおじさんって自覚してるの?」

「まさか。俺は永遠に…」

「永遠に、何。」

「んー…何が適切か、ちょっと考える。」

「イケてなーい。」

いつもの…華音とのくだらないやり取り。

「知花、今日事務所で…」

「もうっ、あれは千里が…」

父さんが、母さんの腰を抱き寄せるのを、いいなあ…なんて、いつもにも増して思いながら見て。

いつもなら、もっと大部屋に居るんだけど…

あたしはさっさと部屋に戻った。


ベッドに投げたままにしてたスマホを見る。

…けど…

連絡はない。

「…はー……」

溜息をつきながら、ベッドに仰向けになる。


あれから…何時間だろ…

しーくん…

あたしの存在なんて…すっかり忘れちゃってるんだよね…

そう思ってしまうと泣けてしまいそうで、頭をブンブンと振った。


仰向けになったまま、天井を見つめてると。

###########

ふいに、スマホのバイブが。

ゆっくり手にして見ると…しーくんからの着信。

「……」

しばらく…眺めた。

出る…?

それとも…出ない?

やがて、それは切れて…あたしはスマホを手から離した。

だけど…

…出なくて良かったの?

もしかしたら、あの時は意識があったけど…朝子ちゃん、具合が悪くなったとか…


あたしったら…

自分の事ばかり考えてた。

朝子ちゃんが車にはねられる瞬間を見てたんだもん…

しーくん、心配に決まってる。

朝子ちゃんはどうだったの?って…ちゃんと聞くべきだったよね…?


かけ直そうか、どうしようか…って悩んでると、再びしーくんから着信。

「……もしもし…」

『あ、咲華…今…家?』

「うん…朝子ちゃん…どうだった?」

『ああ…無傷。』

「え?そうなの?」

『ああ。入院もせずに帰ったよ。』

「…そっか…良かった…」

それは、本心だった。

人に囲まれて仰向けになってる朝子ちゃんを見た時は、どうなる事かと思ったけど…


『…ごめんな…連絡が遅れて…』

「…ううん…」

本当は…それを一番に謝ってほしかった…なんて…

あたし…酷いな…


『それで…何か話してたよな。何だった?』

「……」

しーくんのその一言が…

あたしを凍りつかせた。

しーくん…

ずっと…話聞いてなかったんだ…

…当然か。


『……咲華?』

あたしがずっと無言だからか…

しーくんが、心配そうに声をかけた。

だけど…

…何の言葉も見つからない。


『咲華、どうした?』

「…ううん。何でもない。」

『…今日は…本当に悪かった。今から行っていいか?』

「え?」

『やっと会えたのに、あんな事になったから…』

「でも…明日からドイツなんでしょ?」

『会いたいんだ。』

「……」

素直に…嬉しかった。

しーくんの方から、会いたいって言ってくれるなんて。


でも…

今日は家族みんないる。

特に父さんは…しーくんとの事、あまり良く思ってないし…

「嬉しいけど…もう今日はいいから。明日に備えて休んで?」

『……』

「おやすみなさい。」

『…おやすみ。』

しーくんがどんなに仕事に誇りを持っているか…

あたしは知ってる。

だから…

出来るだけ、邪魔はしたくない。

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コメント1

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  1. マコトさん(29歳)ID:6607843・09/29

    心して読みマス!

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