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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/29 08:12:30

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俺の結婚報告に、目の前の富樫は涙を流してまで喜んでくれた。

が…

相手が咲華だと教えると…あきらかに動揺した。

さっきまで涙を拭いていたハンカチは、冷や汗を拭くための物に変わっている。


「こ…この事…は…」

「…まだ、誰にも打ち明けていない。」

「頭にも…ですか?」

「ああ。」

「……」

「本当は、誰にも気付かれないように解消するのが正しかったのかもしれない。だが…リズ…娘の事を思うと、ちゃんと育てたい気持ちが湧いて…」

「…彼女にも…愛情が湧いたのですね…?」

「…ああ。」

正直…咲華には、まだ…俺への愛情はないかもしれないが…

家族愛のような物は感じる。

…いずれ、ちゃんとした夫婦になりたい。

そのためにも、一つずつ…ハードルを越えなくては。


「志麻に…お話になられるのですか?」

「近い内に帰国しようと思う。彼女の家族にも挨拶をしなくてはならないし。」

「…はい…」

「その時、志麻にも打ち明けるつもりだ。」

「……」

ハンカチを握りしめて、唇を震わせている富樫。

「…反対か?」

賛成も反対もないが、つい…そう聞いてしまうと。

「…ボス、堂々とされて下さい。」

富樫が低い声で言った。

「…え?」

「もう、電話ででも頭や姐さんに報告されてはどうですか?」

「……」

「祝い事ですよ。キッカケは…酔っ払った弾みだったとしても…ボスが今、どんなにご家族を大切になさっているか…」

富樫はそう言うと、また涙ぐんで。

「…ボスの…日々の表情で…分かります…」

ハンカチを目に押し当てた。

「…俺はそんなに分かり易いのか。」

苦笑いをして、椅子に深く座る。

「いつも…優しい表情で、スマホを眺めてらっしゃったり…メールをされてたり…」

「…バレバレだな。」

「志麻に、後ろめたさは要りません。」

「……」

「一歩踏み出せば掴めた幸せを逃したのは、志麻本人の問題です。咲華さんは…巻き込まれた側です。」

富樫の言う事は…もっともだと思った。

だが、仕事でミスをする事のなかった志麻が…ミスをした。

それはきっと、咲華との別れが原因で、集中できていないんだ。

…それほど、後悔もしているはず…


「咲華さんが幸せになる事。これは…今まで志麻と彼女の二年以上を見守っていた、一傍観者としての願いでもあります。」

「……」

富樫の言葉に、背中を押された気がした。

確かに…

咲華が幸せになる事は、みんなが望んでいる。

…俺も、一傍観者の時は…そうだった。

「…ありがとう、富樫。」


最近は、家を出る時に上着のポケットに入れておくようになっていた指輪。

俺はそれを取り出して薬指にはめると、富樫に見せた。

「…私までが幸せな気分です。」

そう言った富樫は、赤い目だが満面の笑みで。

近い内に咲華に富樫を紹介しよう。と思った。

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コメント2

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  1. マリアンさん(50歳)ID:6607562・09/29

    富樫君、ずっと海君の味方でいてね。

  2. ソフィーさん(71歳)ID:6607507・09/29

    富樫さん、いい人。

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