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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/28 22:33:30

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「…現場で…一般人を…死なせてしまった。」

え…っ…?

海さんの胸にすがったまま…心の中で、驚きの声を上げた。

「…周りは…むしろ犠牲者が一人だけだった事の方が奇跡だと言ったけど…それを出さないのが俺の仕事だ。」

「……」

「精神的に…まいってしまった。二階堂に居れば、いつかはこんな事があるかもしれないって予測はしていたし、実際仲間の中にも、そういった経験をした人間もいる。」

あたしを抱きしめたままの海さんの手に…少しだけ力が入った。

「…その時…朝子にそれを打ち明けられなかった。」

「…どうして?」

「朝子にだけじゃない。周りはみんな知っていたが…俺自身の口から、その件を話すのは嫌だった。どうしようもないな…」

「……」

「…まだ若い男性で…小さな子供がいた。」

…許してくれ…って言ってたのは…

その男性に?

海さん…

ずっと…苦しんでるんだ…


命を懸けて働いて…

そんな中では、当然…人の死に直面する事もあると思う。

いくら、それを出さないのが仕事だと言っても…

銃を手にする事が当たり前の世界。

…あたしには想像も出来ないほどの苦悩を…

この人は、きっと…もっともっと抱えてるはず…


「その結果…朝子を傷付けた。一緒に居たくないって言われて…婚約は破棄。もう…俺には誰も幸せに出来ないし、幸せになる資格もないって思った。」

「海さん…」

「…弱い男だろ?」

「そんな…」

あたしが顔を上げると、海さんは小さく笑って…額を合わせた。

「さくらさんが…会いに来てくれたんだ。」

「…おばあちゃまと…面識あったの?」

「…陸兄の結婚式でね。」

「…遠い昔ね…」

「初めて…話した。一般人を死なせてしまった罪を…抱えきれなくて悩んでた事。」

「……」

あたしのおばあちゃまは…不思議な人。

年齢と見た目が全然かけ離れてて。

いつまでも少女のような可愛らしさを持ってる。

信じられないほど耳が良かったり…頭が良かったり…

そして…

とても、包容力がある。


「その時、さくらさんに…『あなたに足りないのは、ライバルと友達だ』って…この家に連れて来られた。」

「…そこに、華音がいたのね…?」

「ああ。最初はお互い最悪だって思ったね。華音が紅美を好きな事も知ってたし、俺は…ずっとくすぶってた紅美への想いを、やっと諦めるって決めた頃だったから…」

想いは…

そう簡単には消え去らない。

あたしには…分かる。


「だけど、一緒に居れば居るほど…俺は華音を好きになったし…」

「……」

「華音に、紅美を任せたいって、本当に…心から思った。」

「…華音は…海さんと紅美ちゃんが付き合ってた事…」

「知ってるよ。全部。」

「…全部…?」

「ああ。」

「……」

全部知っても…ブレない華音の想い…

確か以前…しーくんと曽根君に聞いた。

華音は…ずっと昔から、紅美ちゃん一筋だった…って。


「今は本当に…二人を心から祝福してる。問題は…」

あたしの額にキスして…海さんは、小さく溜息をついたあと。

「俺の弱い心だ。」

「…弱い心…?」

「あなたは悪くない。そう…さくらさんが言ってくれて、肩の力が抜けた。だけど…事実は変わらない。俺は…本当は、こうして咲華を抱きしめてる資格もないって思ってる。」

低い声で…早口にそう言った。

「そんな…」

「…自分でも、もどかしい。ほんと…なんて弱い男だ…って。」

「……」

「だけど、昨夜…思ったんだ。」

「…何を…?」

「…幸せなりたいって。」

「……」

「今までは…紅美や朝子を幸せにしてやれない、とかさ…そんな気持ちで、正面から向き合う事を避けてた気がする。」

「……」

「でも昨夜…初めて思ったんだ。」

海さんの手が、あたしの頬に触れる。

あたしは…海さんを見つめた。

「幸せになりたい。咲華とリズと…一緒に居たいって。」

「海さん…」

「厚かましいか?」

「…厚かましいなんて…」

「…もちろん…今から、色んな事があると思う。まずは…志麻に言わなきゃいけない。」

胸の奥が…ツキン…と痛んだ。

「お互いの家族にも。」

「…大丈夫かな…」

「大丈夫。」

あまりの即答具合に…笑顔になれた。

そんなあたしの笑顔を見た海さんは。

「俺を…信じられる?」

両手であたしの頬を包んだ。

「……うん。ごめんなさい…色々…辛い事、話させて…」

「いつか話すはずだった話しが、今になっただけだ。」

ゆっくり…唇が来て。

あたしは目を閉じた。

ギュッと抱きしめられて、背中に手を回した。

「…愛してる。」

耳元で聞こえた声に、胸が締め付けられた。

あたし…


…あたし…


海さんを…



愛してる?

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