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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/28 21:36:06

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「…ママはご機嫌斜めらしい。」

うつむいたままでいると、海さんはそう言ってリズちゃんをあたしの手から抱き上げた。


あたしは…海さんが紅美ちゃんの名前を呼んだムービーを見て落ち込んで、お酒を飲んで眠ってしまって。

リズちゃんが泣いてたのも、海さんが帰って来たのも、海さんがあたしを起こそうとした事も、泣き止まないリズちゃんを病院に連れて行った事も…

全部知らないぐらい眠っちゃってて。

そんな自分にも落ち込んで、自己嫌悪で、もう…消えてしまいたいって思ってたぐらいなのに…


「パパに何とか出来ると思うか?ん?」

「ひゃはっ!!」

「そこ、笑う所か?ま、いっか。」

海さんとリズちゃんは顔を近付けて…すごく笑顔。

何だか勝手に疎外感…


ぐにっ。

「……」

不意に…海さんがあたしの頬をギュッと掴んだ。

「ひゃはははっ!!」

そのあたしの顔を見て、リズちゃんが笑う…

「な…」

「罪悪感の塊みたいな顔してるから、とりあえずペナルティ。」

「……」

海さんはソファーに座って左足を乗せて、そこにリズちゃんを座らせると。

正面から向き合うよう、あたしの肩に手を掛けて位置を変えた。

「俺は、志麻の妹…朝子という許嫁がいたのに、ずっと紅美の事が好きだった。」

「……」

いきなりの告白に…少し面食らう。

「それでも二階堂のために生きる事には誇りを持っていたし…ただ…朝子を受け入れるには自分自身がまだ準備が出来てないと思って、結婚を取りやめた。」

…それを、しーくんは…

朝子ちゃんは『捨てられた』って…思い込んで…

泉ちゃんに八つ当たりした。

だけどあたしは、あの話を聞いた時…

海さんが許嫁って枠から飛び出したなら、二階堂も変わっていくんじゃないか…って。

そう…しーくんに言った。


「…それは…紅美ちゃんを好きな事に気付いたから…朝子ちゃんを受け入れる事が出来ないって…思ったの?」

海さんは、ずっとあたしの目を見て話してくれてるんだけど…

あたしには、それを見つめ返す勇気がなくて。

海さんの膝にいるリズちゃんを見たり…

わけもなく…華音と紅美ちゃんのツーショット写真を見たり…


「それは関係ない。ずっとアメリカで仕事がしたいって思ってた。なのに日本での任務に対する期待が大きいのも解ってたから、なかなか言い出せなくて…全ては俺の決断力のなさが原因だったと思う。」

「……」

「渡米してからは…必死だった。いくら俺が二階堂の長男とは言え、いざ来てみれば、ただのペーペー。ほんっと…毎日何と闘ってるのか分からない感じだった。」

海さんの手が…優しくリズちゃんの頬に触れる。

「だけど…そこへ紅美が来たんだ。レコーディングで。命がけの毎日の中で、それは…正直、光に思えた。」

…命がけの毎日…

あたしには、無縁の世界。

そんな中、想いを寄せてる人に会えば…そりゃあ嬉しいに決まってるよね…

「紅美に…ずっと好きだったって言われて…舞い上がった。俺達はイトコだし、結ばれる事はないって思ってたからな…」

…不思議と…

ムービーで名前を聞いた時ほど…ショックじゃない。

それって、きっと…

海さんが、真摯に…あたしと向き合ってくれようとしてるって…

あたし…解ってるからだよね…?


「…だけど、舞い上がってた俺は…その時気付かなかったんだよな…俺と紅美は…」

「……」

「…朝子に会った事は?」

「…何度か…」

「朝子の顔の傷は…俺のせいで出来た物なんだ。」

「……」

それから海さんは…

朝子ちゃんが海さんを庇って顔に怪我をした事。

それがキッカケで…紅美ちゃんとの夢から覚めた事。

紅美ちゃんには歌っていて欲しいと強く思った事。

だけど…そんな中で…紅美ちゃんの妊娠と流産を知った事…

それらを…あたしの目を見ながら。

時々…涙を浮かべながら…

ゆっくり、話してくれた。


「…朝子と一緒に暮らし始めた頃…」

「……」

「……」

急に…海さんが、うつむいた。

話し始めて、初めて…うつむいた。

「…寝たな。」

海さんの視線は、膝で眠ってしまったリズちゃん。

「ちょっと移動。」

そう言って、海さんはリズちゃんをベビーベッドに寝かせると…

愛しそうに頭を撫でて…ソファーに戻って…

「…くっつくの、イヤ?」

あたしの前に立って言った。

「……」

咄嗟に…意味が分からなかったんだけど…

あたしがゆっくり立ち上がって、海さんの胸にすがると。

「…朝子と暮らし始めた頃…」

小さな声で、話し始めた。

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