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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/28 19:48:44

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「夕夏、アイス食べる?」

「たべゆ~。」

久しぶりに、姉ちゃんが仕事で本部に出て。

その間…あたしと母さんは、夕夏を連れて買い物に出かけた。


明日から、あたしと志麻がドイツに一ヶ月…行く事になって。

今回はアメリカにも数名、そして新しく拠点とされるかもしれないイタリアに浩也さん達が出向く事で、姉ちゃんがヘルプで数日本部に行く事に。

ま、専業主婦ってガラじゃないもんね。

少しの間、夕夏は二階堂で過ごす。

今は母さんが出る現場もないし。

ちょうどいい。


「ばちゃま、しゅき。」

「ばちゃまも、夕夏大好きよ。」

「あっ、泉は?泉も好きって言って?」

二人の会話に割って入ると。

「いっちゃん、しゅき~。」

「あはは!!夕夏可愛い~!!大好き!!」

ほんっと!!可愛い!!

こんな可愛い姪っ子産んでくれた姉ちゃんに感謝だ~!!

あ、わっちゃんにも。


そうやって、あたしと母さんがアイスクリーム屋の前で夕夏にメロメロになってると。

「……」

どこかで見た事のある女の子が…あたしの隣に並んだ。

…あー…この子…

あの時の…


「ストロベリーとチョコミント、カップで。」

その子はあたしの顔をチラチラと見ながらオーダーをして。

「あっ。」

思い出した!!って顔で、あたしを正面から見た。

そして…

「くんちゃんの彼…うぐっ…」

あたしはその子の口を塞いで。

「…彼女じゃないから。」

母さんと夕夏を目配せしながら、耳元で小さく言う。

「……」

女の子はコクコクと小さく頷いて。

「…こんにちは~…」

あたしに、挨拶し直した。

「…こんにちは。」

「あら、泉…知り合い?」

「うん…ちょっと…」

女の子はカップのアイスを買って手にすると、あたしの腕を引いて母さん達から少し距離を取った。

「くんちゃんと別れたの?」

…くんちゃん。

「…残念ながら、あたし以外の女とも平気で寝るって考えには付いてけなくて。」

低い声で早口で言い切る。

「んー…ま、人それぞれよね。あたしも彼氏がいる時は、他の人とはしないもん。」

その言葉に、あたしは目を大きく開けて。

「なのに、彼女のいる男とは寝るの?おかしいんじゃない?」

少し、凄んで言ってしまった…


「あ…あああ…うっうん…だから、ちょっと反省した…くんちゃん、あれから一度会ったけど、出来なくなってたよ?」

あたしに凄まれた女の子は、首をすくめて申し訳なさそうな声を出した。

「は?」

「だから…彼女にフラれた…って落ち込んでたから、慰めに行ったんだけど…たたなかったのよ。」

「…たたなかった?」

真顔で、首を傾げる。

「もう。やだな。勃起しなかったんだってば。」

「……」

「相当ショックだったんじゃない?すごく好きだったみたいだし。」

「…すごく好きなら、他の女とそういうのして欲しくなかったな。」

「まあ、そうだけど…でも、すごく自慢してたよ?自分より仕事の出来る女は、あいつだけだって。カッコいい女だけど、超可愛いって。」

「……」

「あたしを抱きしめててもさ、えっと…名前…」

「…泉。」

「そう。『おまえが泉ならいいのにー』って言ってたし。」

「…ねえ。」

「え?」

「これ、薫平の差し金?」

そう言ったあたしに、女の子は丸い目をして。

「まさか。あたし、そんなに暇じゃないし。」

キョトンとしたまま言った。

ああ…

あたし、ひねくれてる。

おはじきを使いによこした薫平なら、こんな事もするかもって思ってしまった。


「今夜は合コンなの。美容院行ってきた所。」

女の子は艶々な髪の毛の裾を、手でクルンとして見せた。

その様子は、何だかあたしが体験した事のない女の子としての輝きに思えて…

少し羨ましくなった。


「好きなのに過ぎた事にこだわってたら、失くしちゃうよ?」

「…そんな事言われても…」

「ま、あたしが言うなって思うかもしれないけどさ。くんちゃん、本当に消えてなくなりそうになってたから。」

「……」

「素直が一番。好きなら好き。それでいいじゃん?じゃあね~。」

少し…女の子に感謝した。

好きなら好き…

あたしのそれは、薫平に全て向いてるかどうか分からないけど…

薫平に付けられた傷を、薫平に治して欲しいとは思った。


「…母さん、ごめん。あたしちょっと…」

母さんと夕夏の所に戻ってそう言うと。

「いってやっしゃ~い。」

夕夏が笑顔で手を振った。

「…ありがと。ごめん。」

それからあたしは…走って丘の上の家を目指した。

だけど…


「……なんで…?」

そこには…もう、薫平はいなかった。

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