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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/27 23:07:12

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「王国を作るんだよ。」

そう言って笑った薫平。

あたしはキョトンとしたまま、何も言えなくなった。

だって…

薫平なら、本当に作っちゃうんじゃないかって思ったから。

「あれ?笑わないんだ?」

「作るんだろうなと思って。」

「あはは…二階堂を出て話した人間には、だいたい笑われたけど。」

「あたしは外の人間じゃないからね。」

「……」

薫平の腕で、おはじきが欠伸をした。

居心地がいいんだろうなあ。

薫平自体が。


薫平は置いてたカップを手にすると。

「あっちで話そ。」

部屋の向こうを指した。

二杯目の紅茶を入れてもらってデッキに出ると、おはじきがお腹を見せて寝転がって。

それがすごく可愛くて、つい笑顔になった。

「癒されるだろ。」

「うん。」

二人で笑顔になってその様子を見てると。

「こいつ、捨てられてたんだ。」

薫平が、おはじきのお腹を触りながら言った。

「燃えるごみの日に…箱に入れられてさ。」

「ひどい!!何それ!!」

あたしが大声を出すと、おはじきがビクッとして身構えて。

「あっ…ごめんごめん…」

あたしはペコペコと頭を下げて…薫平は右腕で口元を押さえて、あたしの反対側を向いて笑ってる。

…ちくしょー…


「俺…孤児のための王国を作りたいんだ。」

「……」

笑いがおさまった薫平が、風に前髪をなびかせながら言った。

その前髪の隙間から…額に残る銃の傷痕。


「特殊な訓練なんてない、ただみんな同じように学んで笑って夢を持って…誰とでも恋が出来る環境を作りたいんだ。」

それは…

まるで二階堂とは正反対な気がした。

それを語る薫平が眩しくて、羨ましい気がした。

「…そんな王国作るのに、ビーズ細工や写真集の稼ぎで間に合うの?」

羨まし過ぎて…少し嫌味っぽくなってしまった。

ああ…やだな、あたし。って後悔しかけてると。

「あれはあくまでも趣味。王国作るための資金は他で作ってるよ。」

薫平はクスクスと。

あたしより女の子らしい笑い方をして。

「…この事、二階堂のみんなには内緒な?」

そう言って、あたしに小指を差し出した。

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