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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/27 22:03:31

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朝子が彼氏とうちに挨拶に来て以降も、しばらく暇だった。

あたしは毎日トレーニングは繰り返したものの…あまりの暇さに…

「ちょっと散歩行って来る。」

母さんにそう言って出かけた。


散歩なんて。

たぶん、した事ないよ。

今までは暇があれば部屋でごろごろしてるか、姉ちゃんと買い物に行ったり、兄貴に仕事を教わったり…

常に、兄姉に密着。的な。

なのに、ここんとこの暇続き…

あたし、この一ヶ月でどれだけ散歩しただろ。

もはや隠居した気分だよ。


姉ちゃんちに遊びに行く手もあるんだけど…

今行ったら、絶対朝子の結婚の話になって…

その流れで、あたしの事も聞かれるに違いない。

そう思うと、ちょっと面倒になった。


ゆっくりと階段を上がって、いつもの石のベンチに行こうかなと思ってると…

「…あっ。」

階段の上に、猫がいた。

「わー…こんな所で猫見るなんて、珍しいや…」

つい声に出して言ってしまった。

それほど、あたしは生で動物に会う事がない。

足取りをゆっくりにして、ちゅちゅちゅ…って、よく猫を呼ぶ時にする音を口にして。

そのまま上まで行くと…

「にゃー。」

は…

か…可愛いっ!!

白と茶色と黒と…って、何だか複雑な模様の猫。

目は空色っぽく見えて…ビー玉みたいって思った。

その猫、あたしの事を怖がりもせず…座ったまま尻尾を揺らしてる。

「ちょ…ちょっと、そこに座らない?」

猫相手にドキドキしながら話しかけて、あたしは石のベンチを指差した。

言葉なんて分からないはずの猫は、あたしが歩いて行くと…それに着いて来て。

「えへへ…はじめまして…」

あたしがそう言いながらベンチに座ると。

ストン。と、ベンチに上がって…あたしの腕にすり寄って来た。

ぎゃああああああああ!!

可愛いーーーーー!!


「うわあ…あんた、どこの子?この辺に住んでるの?野良じゃないよね。」

顎の下とか耳の後ろをガシガシとやりながら問いかける。

返事なんてしてくれないって分かってるのに、今のあたしにはとてつもなく癒しで。

もう今日は帰らない!!なんて思ってしまった。

ああ…可愛いなあ。

何かプレゼントしてあげたくなっちゃう。

宝石のついた首輪とか…

高級魚とか…

いや、でもこの子には高価な物より…

「ねえ、うちの子にならない?あたしとベッドでゴロゴロしようよ。」

抱き上げてそう言うと、猫はゴロゴロと喉を鳴らして。

小さく『にゃっ』って言った。

「今の、イエスって事?あ~もう可愛い~っ!!」

でも、こんなにギュッと抱きしめても嫌がらないって…

たぶん飼い猫だよね。

何だかいい匂いもするし。

…でも、首輪もしてないし。

今なら…誰も見てないよ…。

そのうち、『猫探してます』って貼り紙が出たら…その時…

なんて、いけない事を考えてると…

「おはじきー。」

男の声と。

「にゃっ。」

それに反応した猫と。

「…えっ。」

口をポカンと開けたあたしと…。

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