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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/27 13:30:53

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いつものように、帰るとメールをしたが…今日に限って返信がなかった。

何か忙しくしているのか…と思いながら、家に帰り着くと…

「…咲華…?」

咲華がテーブルに突っ伏していて。

リズはベビーベッドで泣いている。

いつもならすぐに泣き止むリズが、今日は泣き止まない。

「咲華。」

肩に手を掛けて呼んでも…起きない。

「……」

咲華の傍らに、酒の瓶。

…飲んで寝てるのか…?


「ああ、よしよし…どうした?調子が悪いのか?」

リズの顔を覗き込んで言ってみるが…当然言葉は喋らないし、泣き止みもしない。

熱はないし…オムツでもない。

何があったんだ…?

起きない咲華を置いたまま、俺はリズを車に載せて出かけた。

こんな事が初めてだけに…頼りになるのは病院しかない。


「ああ…歯が生え始めて、むず痒いんですよ。」

近くのクリニックに行って診察してもらうと、医者はニコニコしてそう言った。

「…は?」

「ええ。歯です。」

「…歯…」

そんな事があるとも知らなかった俺は、ミルクや風呂、寝かし付けぐらいで子育てに参加していた気になっていた事を恥じた。

もっと勉強しなくては。


ついでにあちこち診てもらったが、リズは完璧な健康体で。

泣き止んでからの愛想の良さはいつも通りで、ナースの間でも笑顔を振りまいて可愛がられていた。


申し訳ない気持ちでクリニックを後にして、それでもホッと一息ついた。

何もなくて良かった…

…咲華が酒を飲んで寝ていたのは…少なからずともショックだったが。

それは責めずに話を聞こう。


そう思いながら家に帰ると、咲華がベビーベッドを見下ろしたまま立ちすくんでいた。

「あー。」

リズが声を上げると、咲華は驚いたように振り返って。

「あ……」

俺とリズを見て…へなへなと床に座り込んだ。

「大丈夫か?」

咲華に近付いて腕を取る。

「…あたし…眠ってしまってて…リズちゃん、さらわれちゃったのかと…」

「ああ…書き置きも連絡もしなくて悪かった。ちょっと病院に連れて行ってて…」

「病院?」

俺を見上げながら、ゆっくり立ち上がる咲華。

「泣き止まなかったから…俺じゃ理由が分からなくて。」

「それで?」

「歯が生え始めてくすぐったいらしい。」

「…起こしてくれたら良かったのに…」

「起こしたけど起きなかったから。」

「……ごめんなさい。」

どうも…咲華の様子がいつもと違う。

酒の瓶は片付けられていて、咲華の顔色は…青かった。

「…毎日色々してくれてるんだ。疲れて寝てしまう事だってあるさ。」

咲華をソファーに座らせて、リズを手渡す。

隣に腰を下ろして頭を抱き寄せた。

「…お酒飲んで寝てたの…見たんでしょ?」

「新たな発見って事で。」

「でも…もしリズちゃんに何かあったら…あたし、最低…」

「……」

「自分の事しか…考えてない…」

咲華の前髪をかきあげて、顔を覗き込む。

「何かあったのか?」

「……」

「飲みたくなるような、飲んでないとやってらんねーって思うような何かが、あったのか?」

咲華の目を見てゆっくりと問いかける。

「……」

咲華は唇をかみしめたり、眉間にしわを寄せたりして。

「…何でもない…」

小さくつぶやいた。

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