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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/27 08:52:25

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「眠っちゃった…」

咲華さんが、リズの頭を撫でながらその寝顔を見下ろす。

俺は…その咲華さんの横顔を見ていた。


志麻と別れたばかりなのに…酔っ払って結婚させてしまった。

お互い様とは言え、俺はともかく…彼女にはマイナスでしかない気がする。


責任を取らせて下さい。


…いや、それは違う気がする…

じゃあ…何だ?


「…?」

俺の視線に気付いたのか、俺と目が合った咲華さんが首を傾げた。

「あ…ああ、今日はお疲れ様でした。リズの事も、あんな風に記録されてるなんて。」

リズ日記を思い出してそう言うと。

「毎日色んな発見があって、楽しいんです。」

咲華さんは笑顔で答えた。

「……」

今…どこか…

俺の身体のどこかが、その笑顔に疼いた気がした。


気が付いたら…紅美を好きだった。

それはただ単に好意だと思っていたが、いつの間にか愛に変わっていた。

だがそれに気付かないフリをしなくてはならなかった。

俺には朝子という許嫁がいた。


仕事に集中したくて、朝子との結婚をなかった事にして…

なのに…思いがけず紅美と思いが通じ合った。

愛し合った。

自分の立場もわきまえず…紅美を自分のものに出来たと思い込んだ。

その結果…

俺は朝子も紅美も傷付けた。


それでも…紅美の事を想い続けた。

二階堂を捨てても紅美を守りたいと…そこまで思えるほどの気持ちも持った。

だが、紅美は二階堂のために俺を突き放したし…

歌う紅美を誰よりも美しいと思っていた俺は、その決断に…ますます紅美を好きになった。

一生…紅美だけを想い続けていればいいだけの話だ。

誰とも結ばれなくていい。

小さな子供がいる一般人を死なせてしまった俺には、幸せになる資格もない。

そう…思っていたのに。


今の疼きは…何だ?


「おやすみなさい。」

「おやすみ。」

ベッドに入って、灯りを消した。


癒される毎日に…どこからともなく湧き出て来る罪悪感や後ろめたさ。

隣から聞こえてくる寝息にさえ、満たされてしまう俺は…

この生活をホンモノにしたいが…

そんな事は許されるのだろうか…


悶々と考え事をしているうちに眠ってしまった。

だが、そこから始まった夢は、悪夢だった。

俺が死なせてしまった一般人が銃を持ってリズを人質に取っている。

「やめてくれ!!」

そう叫ぶ俺の隣から、咲華さんが駆け出した。

「危ない!!」

手を伸ばしたが、間に合わなかった。

咲華さんはリズを助けるために自分の命を投げ出そうとしているのに。

俺はその場から動けなかった。

走りたいのに、足が動かない。

足元を見ると、残された彼の小さな子供が俺の足を掴んでいる。

離してくれ…!!

頼むから…


頼むから…


…許してくれ…

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