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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/26 17:08:22

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親父はしつこく俺をバーに誘ったが、『どうしても車で帰りたいから』と断った。

だが、親父は『話してたら飲みたくなるさ』と言って。

『飲んだら泊まればいい』とも言って。

親父が泊まる二階堂御用達のホテルの部屋に、俺を連れ込んだ。

バーカウンターがあるからな…


「みんな変わりない?」

バーカウンターの中に立って、俺は自分用にノンアルコールの飲み物を作った。

華音なら、こういう時に器用にアレンジするんだろうな…なんて思いながら、無難な味にした。

親父には、早く酔い潰れて欲しくて濃い水割りにしたが…

どうかな。


「現場がない分、みんな身体を鍛えすぎて困る。」

「ははっ。いいじゃないか。」

「ドイツだけは忙しいから、みんなあっちへ行きたがって、それも困る。」

ドイツは…秘密組織のまま通して欲しいと言われて。

今は瞬平が主となって捜査機器の開発などをしているが…今後どうなっていくのか…

「そう言えば…泉がやたらと元気だ。」

「…いつもの空元気ってやつか?」

「ああ。桐生院の坊ちゃんと別れてから、ずっとだな。」

「……」

四月に仕事で来た時も…泉はやたらと元気で。

それは、華音の叔父にあたる聖と別れてからずっとだ…って、俺も気付いてはいた。

…去年のクリスマス前だったかな。

仕事の電話の最中、突然泣き始めて。

『…兄ちゃん…あたし…一生二階堂のために働くから…』

低い声で、そう言った。

負けず嫌いで、人見知りが激しくて、単純で…

だが、高い能力を持っている泉。

空が結婚して第一線を退いてからは、自分が…って言う気持ちは高くなっていただろう。

秘密組織じゃなくなるんだ。

どこに嫁に行ったって構わない。

そう親父からも言われてたのに…


「…泉の強がる姿を見てると…どうしてこんな特殊な家に生まれてしまったんだろうな…って、可哀想になるよ。」

「親父が言うかな。」

「ふっ。本当だ。」

「泉は…二階堂に生まれた事を誇りに思ってる。色恋に関しては…確かに壁はあるのかもしれないが…きっと、いつか…いい奴が現れるさ。」

「…そうならいいな。」


当然だが…

親父も父親なんだな…と思った。

泉の様子を黙って見ていられないんだろうな。


泉は…家族が大好きで。

小さな頃から、兄ちゃん兄ちゃんって金魚のフンみたいに後をついて来る奴で。

友達と言ったら…華月。

……華月。

思い出せば思い出すほど、窮屈な相関図に頭が痛くなる思いがした。

咲華さんは、華音と双子の妹で…華月の姉で…

麗姉と聖の姪。

さくらさんの…孫。

俺とはそこそこに繋がりのある、桐生院家の面々。

むしろ、咲華さんと繋がりがなかった方が不思議に思える。


「志麻も桐生院のお嬢さんと別れてしまった。」

親父の低い声に、少しヒヤリとした。

「…理由を?」

さりげないつもりでも、少し声がうわずった気がする。

「長く待たせ過ぎたと言っていた。」

「…婚約して二年以上…どうして志麻は結婚に踏ん切りがつかなかったんだろう。」

「志麻とそんな話をした事はなかったのか?」

「ないな。志麻は…プライベートな事は誰にも話さないって富樫もぼやいてた。」

本当に。

富樫は現場帰りにポロッと『地元警察にめちゃくちゃ可愛い女性がいる』とか、『ドイツの現場で一緒になった女性と連絡を取り合っている』などと、実はアンテナを張りまくっている事を語ったりするが…

志麻は何も言わない。

咲華さんと婚約中も、うまくいっているとしか話さなかった。

とにかく、仕事に打ち込む志麻。

意外な一面を見たのは、DANGERのライヴに連れて行った時ぐらいのもんだ。

あの後、打ち上げにも参加して…久しぶりに一緒に飲んだが…

志麻はそこでも自分の話はせず、周りの酒の世話ばかりをしていた。

「志麻が待たせている間に、桐生院のお嬢さんには女性としての時間を無駄に過ごさせてしまったかもしれない。」

「……」

「幸せになって欲しい。」

「…そうだな…」

そう答えながら、罪悪感が湧いた。

俺と…偽物の結婚生活なんてしてる場合じゃないよな…。

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コメント1

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  1. マコトさん(29歳)ID:6606022・09/26

    そんなことないよー!!!海くんー!!!!

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