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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/26 13:07:42

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「よく飲むなあ。」

リズにミルクをやりながら、その愛らしさに笑顔になる。

…酔っ払って結婚して…リズを引き取った。

有り得ない。

有り得ないんだが…俺は癒し満たされている。

有り得ない妻と…有り得ない娘に。


「えっ…と、海さん…」

テーブルの上に料理を並べながら、咲華さんが遠慮がちに言った。

「あの…ベッドなんですが…」

「…ベッド?」

「今日、配達に来られましたけど…」

「え?誰が?」

「業者さんが……え?海さんがオーダーされたんじゃないんですか?」

咲華さんは眉間にしわを寄せてサイドボードに置いていた配達票を手にして。

「あ…。配達先しか見てなかった…」

小さくつぶやいた。

リズにミルクを飲ませながら、咲華さんの隣に立ってそれを覗き込むと…

「…富樫?」

なぜか、富樫から…ベッドが送られて来ている。

「二階に?」

「はい…海さんの部屋に。」

ミルクを飲み干したリズを連れたまま、ゆっくり階段を上がってみる。

部屋のドアを開けると、そこには…何とも立派なベッドが…

「…富樫という男がここに来ましたか?」

後ろに着いて来てた咲華さんに問いかけると。

「いえ…業者さんしかいらっしゃいませんでした。」

…だよな。

富樫は今日、俺とデータ処理をやっていたんだ。

どういう事だ?

なぜ富樫が俺にベッドを?

しかも…こんな大きなサイズ…


「…先に食事にしましょうか。腹ペコだ。」

困ったような顔をしている咲華さんにそう言うと。

「あ…そうですね。」

笑顔になった。


テーブルに並んだ和食は、今日もとても美味かった。

二人が出かけた話を聞きながら、笑顔になれる自分がいた。

何なんだろうな…この穏やかな空気は。

咲華さんには…独特な雰囲気があると思う。

志麻が惹かれたのが…分かる。

サイドボードには花。

華音もそうだったが…花の家に育った彼女も…きっと花がないと落ち着かないのだろう。

そして…その隣に俺の指輪が。

「……」

咲華さんは、指輪をしたまま。

だから…って言うわけでもないが、指輪を手にして左手の薬指にはめた。

今はまだ…夢を見ていたい。

顔を上げると咲華さんと目が合った。

指輪をはめた左手を見せると、彼女は少しだけ…幸せそうに笑った。


『はい、富樫です。』

「俺だ。あの贈り物にはどういう意味が?」

食事の後、一人で外に出て富樫に電話をかけた。

『あっ、あれはボスに良い睡眠を取っていただきたく思いまして…』

「……」

富樫の声が笑っているように思える。

「それだけじゃないだろ?」

『えっ!?』

全く…

仕事は出来る奴なのに…どうしてこう、分かり易いんだ。

『べっべ別に他意はございません!!』

「あんなに大きなベッドに俺一人で寝ろって贈ったわけじゃないだろ?」

『う…』

やはり…

富樫は何か知ってる。

『じ…実は…』

「なんだ。」

『…昨日の朝、ボスと連絡がつかなかったので…心配になってご自宅まで行ったのです。』

「……」

俺の顔から血の気が引いた。

『その…ボスが…ソファーで…』

「それでどうしてベッドを?」

『私が家の中に入った事さえ気付かれないほど、安心してお休みになられていたのですよ?ボスが、とても大事そうに抱きしめておられた女性に、どれだけ心を許されているか分かるじゃないですか。』

「……」

俺はベンチに座りながら頭を抱えた。

「だからっておまえ…いきなりあんなベッド…」

『ですが、ご自宅にあるベッドはどれも小さいじゃないですか。』

「……」

何度かうちに来た事のある富樫。

どの部屋も見て回ってたのか?

『もう、いつご一緒に住まわれてもいいように…大きなサイズにしておきました。』

「……富樫。」

『はい。』

「この事は、他言無用だ。」

『分かっております。』

「…頼む。」

『承知いたしました。』

富樫との電話を切って…深く溜息をついた。

まさか…見られてたなんて…!!

だが…咲華さんとはバレてないし、リズの事も知られてはいないようだった。

…俺はこの先…どうしたいんだ?

こんな現実逃避にも似た夢のような時間を…

終わらせなくてはならない事を、頭では分かっているのに…。

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