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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/25 22:32:40

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午後から桐生院咲華が書いてくれたリストを手にして、一人で買い物に行った。

まるで出産経験があるのかと聞きたいぐらい…子供に詳しい。

俺が買い物から帰った頃には、リズは昼寝をしていて。

桐生院咲華はここぞとばかりに冷蔵庫にある物で料理をして、それを冷凍庫にストックしていた。


「あ、おかえりなさい。」

キッチンで振り返ってそう言われて。

「…ただいま。」

少し…照れた。

朝子と暮らしていた時に、こういうシチュエーションはあったものの…

あの時はお互いが暗い気持ちだったし…

何より…

傍らに赤ん坊も寝ていなかった。


俺は一生結婚しないし、子供ももたない。

そう決めたはずなのに…

バスケットに眠るリズ。

キッチンから聞こえる、生活の音。

それが…とてつもなく心地良く思えた。

だが、これはホンモノじゃない。

俺と彼女は、酔っ払った勢いで結婚したんだ。

そしてリズの事も…


…しかし、そのどれもを解消するのはとても困難で。

この先、どう解決するのが良案かを捻り出そうとした。

だが…

その良案は、どう考えても…

俺と彼女が潔く夫婦になってリズを育てる…という事だ。

第一に、リズの事を考えたい。

果たして、リズのために…部下の元婚約者と夫婦になれるほどの神経の太さが俺にあるだろうか。


リズは俺が帰って来て20分ほどで起きた。

そして桐生院咲華が用意した離乳食をたらふく食べ、満面の笑みを見せて俺達をも笑顔にさせた。

夜は買って来たタライに湯を張って、二人でリズを洗った。

まさに…共同作業だ。

晩飯も…ホッとするような和食を、桐生院咲華は気持ちのいい食いっぷりで俺を感心させた。

それぞれシャワーを済ませて、後は寝るだけ…

「リズは…どうしますか?」

「あたしの部屋で一緒に寝ます。」

「じゃあ、何か不都合があったら起こして下さい。」

「分かりました。おやすみなさい。」

「おやすみなさい。」

そう言って、部屋に入ると…

『あーん!!』

早速…リズの泣き声が聞こえて来た。

『どうしたのー?』

『あーん!!』

火がついたように泣きじゃくるリズ。

これはさすがに…と思って。

「大丈夫ですか?」

ドアをノックすると。

「あ…ごめんなさい。眠れないですよね…」

ドアを開けた桐生院咲華の腕に抱かれたリズが…

「うー。」

俺に手を差し出した。

「ん?俺と寝るか?」

リズを抱えながら問いかける。

「でも…夜中に起きちゃうかもしれない…」

「いいですよ。睡眠不足はしょっちゅうですから。」

「…何か不都合があったら、呼んでください。」

「分かりました。じゃ。」

「おやすみなさい。」

パタン。

「あーん!!」

「お…おいおい…」

結局…リズは…

三人で眠りたい…と。

「…どうしましょう…」

「…とりあえず…今夜は挟んで寝る事にしましょうか…」

ベッドを動かすのは大変だと思い、マットレスを並べて置いた。

沙都の部屋からも布団を拝借して、リズのために少し豪華なベッドメイクとなった。

「海さん、狭くないですか?」

「俺は全然。咲華さんこそ。」

初めて…名前を呼んだ。

「…大丈夫です…」

俺達の間で…リズは泣きもせず、すやすやと眠る。

その寝顔を見つめた咲華さんは。

「…本当に…天使みたい…」

つぶやいて…小さく欠伸をした。

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