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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/24 23:45:14

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「あ、詩生君と華月さんだ。」

ミーティングが長引いて少し機嫌が悪くなってた所に、娘の麻里子を連れて佳苗が迎えに来てくれた。

一歳になったばかりの麻里子を抱えてゴキゲンな俺は、佳苗と並んで表通りを歩いていた。

「え?どこに。」

「ダリアの前。」

「…見えねー。」

「もう…彰ちゃん。メガネ外してるからよ…」

そう言って、佳苗が俺にメガネを掛ける。

「ああ…見える。珍しく…ベッタリな二人が。」

詩生君はくっつきたいんだろうが、華月さんはいつも数歩後ろを歩くタイプ。

それが今夜は…腕なんて組んでベッタリだ。

「お似合いよね、あの二人。結婚しないのかな。」

「……」

佳苗の言葉に無言で顔を見ると。

「ん?」

佳苗は…首を傾げて俺を見た。

「いや…何でもない。」


俺からしてみると…

酒に酔ってたとは言え、華月さんのマネージャーを妊娠させた詩生君に、華月さんが戻っただけでも驚きだ。

まあ、あれから酒は一滴も飲まないし、意外とクソ真面目な男ではあるけど。

…だからって、神さんが許すとは思えねー。

俺だって、娘の相手には詩生君みたいな男は選びたくねーよ。


「…彰ちゃんも、お酒に酔うと色々あったよね。」

まるで俺の考えてた事を見透かしたかのように、佳苗が低い声で言った。

「…色々なんてなかったけど?」

「お酒飲むと見境なくキスしてたんでしょ?」

「……詩生君みたいに全員が華月さんに見えるのよりはマシだったぜ?俺は相手を選んでたからな。」

「……」

「…何だよ。」

佳苗は…意外と俺の事を解っている。

そんなわけで、俺が何を言っても。

俺が無言を通しても。

佳苗にはバレてしまう事が多い。

それはそれで…悔しい。

「男相手にキスしてたのに、妬いてんのか?」

鼻で笑いながら言ってみる。

俺の方が優位なんだぜ?って感じか?

だが…

「そうだね。酔っ払って素直になった彰ちゃんが、どんな事を囁きながらキスしたんだろうって思ったら、男の人が相手でも妬いちゃう。」

いつになく低い声の佳苗。

てか…

「な…なな何だよそれ…」

つい、どもってしまった。

囁きながらキス…とか…

俺が何を囁いたって言うんだ…!?

って、それって誰からのネタだよ!!

「でも別にいいの。昔の事だから。」

「…その言い方引っ掛かるな。ハッキリ言えよ。」

「言っていいの?」

俺の前を歩いてた佳苗が、くるっと振り返って。

「許嫁と結婚するのは親孝行だって言った事とか、あたしの編んだセーターを要らないって他の女の人の家に置いて帰った事と」

「悪かった。」

佳苗の言葉を遮って謝る。

ああああああああ、ああ。

そうだよ!!

俺も酷い事をしたさ!!

けど、詩生君みたいに他の女を妊娠させたりなんてしてねーのに!!

…って。

どれも『酷い事』って同じ括りか…。


「あたし、もし彰ちゃんが浮気したら…」

「しねーよ。」

「例えよ。」

「しねーのに例えなんて要らねーよ。」

「でも、もししたら…女優復帰してラブシーンするから。」

「…え。」

「ベッドシーンもやるから。」

「……」

「…なんで青くなるの?浮気しないんでしょ?」

なんつーか…

結婚してからの俺は…

ハッキリ言ってモテない。

希世も映君も、結婚してからの方がモテてるのに…

なぜか俺は、モテない。

まあ、浮気なんて…するつもりねーけどさ…

今は可愛い娘にメロメロだし、佳苗も…たまにこういう恐ろしい事を言う以外は…

可愛い嫁だ。

だが…

もしかして、俺って…

尻に敷かれてんのか…?

手の平で転がされてんのか…?


「詩生君と華月さん、色々あったからこそ…幸せになって欲しいな…」

佳苗が俺に並んで、腕を組んで来た。

…こいつが腕を組むのも珍しい。

「麻里子、ぐっすりね。」

俺の腕の中で眠る麻里子を見て、佳苗が笑顔で俺を見上げる。

「…ああ。」

色々あったからこそ…幸せに…か。

…そうだよな。

詩生君は詩生君で悩み続けて…自ら茨の道を選んでるわけだもんな。

神さんがそうそう許してくれるわけがないって分かってても、それでも華月さんの事…愛して止まないんだもんな。

詩生君の書く曲には、メッセージ性の強い物が増えた。

それは世の中に対する事もあるけど…以前より、愛のこもった物が多い。


「詩生君と華月さんの赤ちゃん見てみたいな。きっとすごく可愛いよね。」

佳苗は何気なく言ったつもりなんだろうけど…

「麻里子が世界で一番可愛い。」

俺が真顔で答えたからか…小さく溜息をついて。

「…そっか…あたしは一番じゃなくなったんだね…」

俺から腕を離して、前を歩き始めた。

「お…おいおいおいおい…娘に妬くなよ。」

「まあ、彰ちゃんも世界一じゃないから、いいけどね…」

ムッ。

「何だよ。誰が世界一なんだよ。」

しょーもない事なのに、ついムッとして低い声で問いかけると。

「父さん。」

佳苗は笑顔でそう言った。

「……」

ちくしょー!!

言い返せねー!!

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