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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/24 23:18:34

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「あー、わりい。待たせたな。」

待ち合わせたダリア。

約束の時間は六時。

ミーティングが少し長引いて、俺が到着したのは七時過ぎ。

「ううん。これ飲みながら本読んでたから。」

そう言って、華月はカップを指差してテーブルに置いてる本を目配せした。

本は…

高原さんの自伝。

「何回目だ?」

「詩生だって何回も読んだクセに。」

…そう。

ビートランドの者なら、高原さんを知る者なら、絶対何回も読んでしまう。

高原さんの…愛のこもった一冊。

全部を赤裸々に綴ってるわけじゃないけど、そこには常に愛があって…

Live aliveを思い出させる。


「うちで飯食わねー?華月と待ち合わせてるって言ったら、母さんが一緒に食わないかってさ。」

「えっ、いいの?」

「すき焼きらしい。」

「行く。」

華月は真顔で本をバッグにおさめると。

「おばさまに連絡してね。」

首を傾げて言った。

…今日も可愛い。


「あ、母さん?俺。今から華月と帰る。」

華月と帰る。って自分で言ったクセに少し照れた。

いや、顔には出さねーけど。

『ダリアにいるの?』

「今出たとこ。」

『分かった。気を付けてね。』

一人暮らしをしてた時期もあるけど、戻ってからはずっと実家暮らし。

俺が華月んちに行く事は少ないが…華月はよくうちに来る。

両親共に華月を気に入ってるし、弟の園も妹の千世子も結婚して家を出てるから、俺と華月は甘やかされっぱなしだ。


「先週、聖と飲みに行った。」

並んで歩きながらそう言うと、一瞬『えっ』て顔をした華月。

「あ、俺は飲んでねーから。」

「ううん。そうじゃなくて…聖、何も言わなかったなと思って。」

「言ってねーだろうなと思って、今言った。」

「…そっか。」

彼女と別れた事を華月が気にしてた。って話した時点で…

たぶん、聖は俺と飲んだ事を華月には言わない気がした。

まあ、いちいち誰と飲みに行ったとか…話すか話さないかは人それぞれだけど。

聖は…どうかな。

俺は華月には全部話すけど。


「…どした?」

突然、華月が腕を組んで来た。

華月からくっついて来るなんて珍し過ぎて。

俺は少し腕を脇に寄せた。

その手、離すなよ。的な感じで。

「…あたし達は…大丈夫だよね…?」

「…何か不安か不満が?」

顔を見ながら言うと。

「不安も不満もないよ。でも…近くにいる恋人同士が別れちゃうと、明日は分からないのかな…なんて思っちゃう。」

華月はうつむき加減にそう言った。

明日は分からない…か。

「まあ、生きてると色んな事があるから…確かに明日は分かんねーだろうけどさ。」

「ほら…」

「まだ続きがあるってば。」

俺は空いてる方の手で華月の鼻をギュッとして。

「明日もし自分が死ぬような事があっても、俺の華月への気持ちは変わんねーよ。」

「…死ぬだなんて、縁起でもない…」

「一番最悪な事で例えてみただけさ。死んでも俺の気持ちはずっと華月にあるし、見えない物になったとしても付きまとってやる。」

「…ストーカー…」

華月が小さく笑って、少しホッとする。


華月は…俺のファンが原因で足を怪我して歩けなくなった時期がある。

モデルなのに立つ事も出来なくて…自殺未遂も起こした。

だけどそれを克服しかけた頃…

華月に怪我を負わせた負い目と、華月への気持ちが複雑に入り乱れて…潰されそうになってた俺は。

…酒の勢いで…華月のマネージャーをしてた絵美さんと…寝てしまった。

絵美さんだ。って認識なんてしてなかった。

華月だと思ってのそれは…当然だけど、覚えていなくても裏切り以外の何ものでもない。

その上、絵美さんは妊娠したし…流産もしてしまった。


華月と絵美さん。

二人を傷付けた俺に絵美さんは…華月を取り戻してくれと言った。

絵美さんもまた…華月を裏切ったという罪に押しつぶされそうになっていたからだ。


許してくれるわけがない。

華月だけじゃない。

桐生院家の全員から、そして…俺の行動のあさはかさに呆れた両親からも。


だけど…

まさかの展開で、華月は俺を受け入れてくれた。

少しずつだけど、周りにも認めてもらえるよう頑張ってるつもりでもある。

が…

今みたいに、華月が心細い顔をすると…俺もまだまだなんだって思う。


「俺の一日の頭の中、おまえに見せてーよ。」

耳元でそう言うと。

「…近いよ。」

華月は少し体を引いた。

「キスしたい。」

「…詩生、うちの父さんに感化されてる?」

「彼女がこんなに可愛かったら、誰だってそうなるさ。」

「…母さんの気持ちが分かる…」

相変わらず引け腰になってる華月の耳元に、無理矢理キスをする。

「写真撮られたら…」

「俺達公認じゃん?」

「そうだけど…」

「嫌か?」

「……いじわる。」

「ははっ。」


くっつきながら家に帰ると。

「もー、遅かったわね。」

「待ちくたびれたぞ?」

親が二人並んで飲んでた。

「もう飲んでんのかよ。」

「こんばんは。お邪魔します。」

「じゃ、華月ちゃんはこっちね。」

「何で二人で華月挟むんだよ。普通俺の隣だろ?」

「どうせくっついて帰ってたんだろ?少し離れろ。」

「ふふっ。」

まあ…いいか。


それから、両親と華月と四人で。

すげー楽しい晩飯を食った。

華月はずっと笑いっぱなしで。

うちの親、もしかして…俺の事気遣って華月を大事にしてくれてんのかな…って思った。


「華月ちゃん、お父さんの新しいミュージックビデオ見た?もう…感動作だったわね。」

なぜか親父と俺が洗い物をする羽目になって。

ソファーで母さんと華月が並んで、別腹に甘い物を入れながら語り合ってる。

「見ました。もう…母さん愛され過ぎって言ったら、母さん、あれはみんなに向けて作った歌だと思うって。」

「えー?そうかなあ?」

「うちの父さん…ああ見えて、愛に溢れた人だから。」

「…そうね。それは本当、よく分かるわ。」

そう言った母さんの肩に、華月が嬉しそうに頭を乗せる。

俺は少し驚いたが…母さんはめちゃくちゃ笑顔になって。

俺の隣で、親父も嬉しそうな顔をした。


…俺達、いつか。

こんな風に…家族になれるかな。

て言うか。


もう、なってるよな。

華月んちもうちも…

愛に溢れた家だから。

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