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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/24 19:15:44

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階段をゆっくり上がって…さくらに近寄る。

もう、ステージ袖からも…割れんばかりの拍手だ。

「…なっちゃん。」

「……」

それまであった大きな祝福の拍手や歓声は、さくらがマイクを使わなくなった事で言葉を聞きとろうと必死なのか…

また静寂が戻った。

「ごめんね…ずっと…あたし」

「待て。」

「…え…?」

俺はさくらの言葉を遮る。

「最上階の鍵を開けられないようにしてたのは、おまえか?」

「……」

俺の問いかけに、さくらはバツの悪そうな顔をして。

『こんな時に言う~?』と小声でボヤいた。

「どうして瓶の中身をすり替えた?」

俺は真顔で問いかけ続ける。

客席は…何とか俺達の言葉を拾おうとする輩が、ずんずんと前に詰め寄って来ている。

「…だって…大丈夫なんだもん…」

「何が。」

「何があっても、大丈夫だから。」

「……」

「なっちゃんは今までみたいに、お城を守って?」

「……」

「ただ…なっちゃん。お城を守るにしても…一人じゃ厳しいと思うの。」

キッと俺の目を見て…さくらは続けた。

「だから…みんなで守ろうよ。だって、なっちゃんは一人じゃないもの。」

「……」

…なんなんだろうな。

目の前のさくらが…リトルベニスに行く前のさくらに思える。

さくらの作ったビタミンとカルシウムたっぷり薬のせいか?

「なっちゃんの事は、あたしが守るから。」

…何言ってんだ…

そう思うと、笑いが出た。

小さく口元を緩めると。

「あたしは本気よ。」

さくらが…俺に一歩詰め寄った。

詰め寄って…

「だから、もう観念して…これを受け取って。」

ケースの指輪を手にして。

「これ…二つ重ねると二人の名前が出来ちゃうの。あのジュエリーショップで…一目惚れしたの。」

そう言って、指輪を重ねた。

「ね?ナツキ・サクラって…」

「……」

さくらが見せたそれには…確かに筆記体で二人の名前が…

俺は小さく溜息をついた後。

「…貸せ。」

指輪を手にした。

…内側には、'××/12/8の刻印…


…まいったな…

本当に…まいったな。

もう人生終わるはずだったのに。

さくらは始めようとしてたなんて…


俺がゆっくりと跪くと、会場は再び割れんばかりの歓声に溢れた。

…里中、おまえ言ったよな。

今日は何をしても許されるって。


「…なっちゃん…」

「…俺の用意した物じゃないが…俺に言わせてくれ。」

「……」

そっと…さくらの手を取る。

さくらが…あの日俺にプロポーズしてくれるつもりだったなんて…

遠い昔の事だと言うのに、胸が締め付けられた。


周りから見たら滑稽だろうか。

…滑稽でも構わない。

失くしたと思っていたさくらが…ずっとそこに居てくれたのだから。


「森崎…いや、桐生院さくらさん。」

あえて…『桐生院』と呼んだのは、貴司と母親との約束を果たす決意もあった。

「…はい…」

「俺と結婚して下さい。」

一瞬ポカンと口を開けたさくらは、右手でそれを押さえて。

ポロポロと涙を流し始めた。

そんなさくらを見上げてると…とてつもなく…優しい気持ちになれた。

「…早くイエスって言えよ。」

「……なっちゃん…」

さくらはイエスとは言わなかったが、コクコクと頷いた。

それを返事と受け取った俺は…さくらの左手の薬指に、それをゆっくりと…はめた。

泣きじゃくるさくらに駆け寄ったのは、知花と瞳で…

二人は俺にも抱きついて…泣いた。

「母さん、高原さんにも指輪。」

知花がそう言うと、さくらは真っ赤な目で笑いながら…俺が差し出した左手の薬指に指輪をはめた。

今まで聞いた事のないほどの大歓声が上がって…俺は…夢を見ているような気分になった。

すると、それまでステージ袖にいたマノンとナオトが出て来て…

『やーっと、くっついた』

『長かったな~。待ちくたびれてジジイんなってもうたわ』

マイクの前でそう言うと。

「ほんとほんと、いつまで待たせるんだよってな。」

「さくらちゃん、こんなジジイだけどよろしく。」

客席から…ゼブラとミツグも出て来て、俺とさくらの肩を叩いて…

「…え?」

俺とさくらは顔を見合わせた。

なぜか…みんなそれぞれパート位置に着いたからだ。

『みんな、聴きたいだろ!?二人の歌!!』

珍しくナオトがマイクに向かって叫ぶと、会場からは『聴きたい!!』『待ってました!!』の声。

「サビは三回繰り返しで頼むで。」

マノンがギターを担いで言った。

「どうして…」

呆れた顔のまま問いかけると。

「ナオトの入院中、暇やったからみんなで集まっててん。そしたら自然とな。」

マノンは首をすくめて笑った。

「……」

「……」

俺とさくらは顔を見合わせて…

「まったく…」

俺が小さく笑うと、さくらも…少し困ったような表情で笑った。

『…いい誕生日だ』

マイクに向かってそう言うと、いつの間にか会場は総立ち。

るーちゃんも愛美ちゃんも…麗も瑠歌も世貴子も…

俺の大事な社員達や、アーティスト達も。

みんながそこに立って、俺達を観てた。


「…歌ってくれるか?一緒に。」

「…もちろん。」

俺を見上げたさくらの肩を抱き寄せる。


ナオトの鍵盤でイントロが始まって…

まさかのぶっつけ本番の、If It's Love…俺とさくら×Deep Red…

さくらの耳元で。

「おまえメイン行くか?」

問いかけると。

「なっちゃん歌って?あたしハモるから。」

さくらも耳元に返して来た。

…人前だろうが何だろうが…関係ない。

今日は、何をしても許される。

と、里中は言った。




朝起きたらさ、おまえが隣に居る

おかしいな…これはリアルなのか?って

毎朝そんな気持ちになるなんて…夢みたいな幸せって事だよな


もしおまえに悲しみが訪れたら、俺がおまえを殺してやる

おまえを悲しませない

俺が苦しむとしても


それは愛なのか?って、誰もが言うんだ

俺は笑顔で、全力で言うさ

愛だ

いや

愛以上だ

愛以上なんだ


もしおまえに苦しみが訪れたら、俺がおまえを殺してやる

おまえを苦しませない

俺に罰が与えられるとしても


それは愛なのか?って、誰もが言うんだ

俺は笑顔で、全力で言うさ

愛だ

いや

愛以上だ

愛以上なんだ

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コメント1

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  1. イレーヌさん(37歳)ID:6604868・09/24

    やっとやっと.+’(艸дQ。涙)+.カンドー
    はぁーよかったー
    ほんとー号泣(笑)

  1. 1

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