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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/23 09:29:55

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『BEAT-LAND Live alive』

八木宏樹


「ははっ。見ろよあれ。」

誠司が臼井の肩にもたれて笑った。

こうして…全員で集まるのは、どれぐらいぶりだろう。

…勇二の葬式の時以来か…。


テーブルには、ちゃんと勇二の写真も置いてある。

若い頃の写真と…遺影と。

それに、廉の写真もだし、晋のも。

「晋まで死んだみたいじゃないか。」

そう言った俺に、誠司は。

「どこかにいる晋に、みんなの想いが届くといいと思って。」

細くなった目を、さらに細くして言った。


勇二が死んだのは…三年前。

68歳の時だ。

プロのバスケット選手としてカナダに移住した勇二。

引退後はそこでコーチもしていた。

結婚して子供も生まれた。

日本には、たまに帰って来て…その時はダリアに集まった。

とは言っても…全員で集まるなんて事はなかったな…

まあ、各々誰かとは会ってる状態だったと思う。

俺もダリアにはコーヒーを飲みに行ってたし。

そこで誠司と懐かしい話をしていると、臼井がやって来て…って感じだった。

るーと頼子は家が向かい同士で、その仲の良さは当時からずっと変わらず。

誠司と勇二も幼馴染だが…夢を追ってカナダに行った勇二とは、思うように連絡も取れなかったと思う。

涼ちゃんは…

セレモニー以来、るーの家に遊びに行くようになったとは聞いていたが…

俺達と気楽に会うような事はなかった。


それが、いつだったか。

『八木さん…ご無沙汰をしております。早乙女です。』

電話をもらった。

『息子夫婦が家を建てると言うので、お願いしたいのですが…』

親父の代までは八木建設として大きな現場だけをやっていたが、俺は住宅建築にも手を広げたしエクステリア全般も手掛けるようになった。

あの連絡は…嬉しかった。

息子夫婦と聞いた時、晋の息子か?って…すぐに思ったし。

実際会ってみると晋には全然似てないが、とても雰囲気のある息子さんで。

「浅井の父から色んな話を聞きました。」

図面を開いて打ち合わせをしながら、時々出てくる晋とのアメリカ生活の話に俺は胸を熱くしたものだ。

…その晋も、インドで行方不明になったまま。

正直、もう見つからないのでは…いう気持ちもある。

だが、その一方で…奇跡を待っている自分もいる。


「あ、始まる。」

頼子がスクリーンを指差した。

セレモニーの時は号泣したが…今日は泣かずに観ようと決心して来た。

だが、やはり…感情というものは歳を取っても変わらないのか。

もうはるか昔の出来事なのに、制服姿の自分が何かを訴えかけているような気さえした。

強がらずに泣けよ。

そう言ってるのか?

唇を震わせるのがバカらしくなって、頷きながら泣いた。

こんなに歳を取って、スクリーンの中のみんなでそれを見れる幸せと。

歳を取った廉にも会いたかった…という、今はもう叶わない願いと。

勇二と晋もここに居れたら良かったのに…という、寂しさ。

「…今日は…廉と浅井君が心残りにしてた事が、一つ叶う日になるかもしれないの…」

曲が終わって、涙を拭いながらるーが言った。

「え…?それ、なんだよ。」

臼井がるーに問いかけると。

「…ね、涼ちゃん。」

るーは涼ちゃんに赤い目のまま笑いかけた。

「本当…叶って欲しい…」

涼ちゃんもまた…ハンカチで涙を拭きながら。

笑顔で頷いた。

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