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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/22 11:59:22

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『BEAT-LAND Live alive』

早乙女千寿


トップにDANGERを推した俺としては…若干プレッシャーもあったけど。

DANGERは…

見事だった。

たぶん俺達メンバー全員が、参観日のような気分になっているとも思う。

「……」

陸がDANGERのステージを見て泣いて、光史が無言でタオルを手渡した。

…ほんと、良かったよ。

一時期、紅美ちゃんが家出してしまって…

その時の陸の様子は、どう声をかけていいものやら…って感じで。

あえてみんな普通にはしてたけど、陸と…紅美ちゃんの伯母にあたる知花の心労は尽きなかったと思う。

色んな事を越えての、このDANGERのステージには…俺にも熱くこみ上げるものがあった。


紅美ちゃんと一緒に俺のクリニックに通ってた華音。

あいつ…本当にズバ抜けて上手くなった。

紅美ちゃんがいない間も、自分は自分のできる事をやるしかないからって、欠かさず練習に来た。

俺が教える事なんて、そんなにないってぐらい…もう弾けてたんだけどな…


最初は『ノン君』って昔みたいに呼んでたけど、何回目かの時に…

「そんなに優しく呼ばないで下さいよ。俺、早乙女さんには厳しく教えてもらいたいんで。」

真っ直ぐに俺の目を見て言った。

…本音を言うと、少し寂しかったな。

『しぇん』って呼んでくれてた、はるか昔。

ノン君サクちゃん…双子の二人はとてつもなく可愛かった。

アメリカの光史の部屋で、みんなで一歳を祝った。

歩く瞬間も目の当たりにした。

SHE'S-HE'S全員の初めての子供って感じで。

みんなが父親であり母親の気分を味わった。

それが…初等部に入った頃に、神さんから線引きを言い渡されて。

『早乙女さん』って呼ばれた時は…少なからずともショックだったのを覚えてる。

…ははっ。

もう俺も年だな。

こんなに最高のパフォーマンスをしてる華音を見て、ノスタルジックになるなんて。


DANGERのステージの後は…詩生のバンド。

客席から登場するという、何とも生意気な感じがDEEBEEらしい気がした。

「…詩生君、少し顔付変わったね。」

知花にそう言われて…

「そうか?」

俺は少し緊張した面持ちで詩生に注目する。

デビュー当時は見た目だけだって酷評されて、悔しがってたが…

今はどんな評価をされても揺るがない自信をつけた。

…今となっては…って言える話だが…

あの失敗も、もしかしたら詩生にはプラスになった出来事なのかもしれない。

当事者の華月ちゃんや、神さん…知花には本当に申し訳ない気持ちしかないけど…

親バカと言われたらそれまでだが、これからの詩生を見てやって欲しいと強く思う。

…知花は、早く孫が欲しいからか…

詩生と華月ちゃんの結婚には大賛成のようだけど…

問題は、神さんだよなあ。


「へえ…珍しいな。詩生のラブソング。」

「……」

知花じゃないが…詩生はラブソングが苦手で。

ファーストアルバムに一曲だけ収録したが、今思うと散々な出来だった。

「…華月に歌ってくれてるのかな。」

知花が笑顔になった。

「…俺としては、華月ちゃんには当然だけど…神さんにも届いて欲しいな。」

足を組んでそう言うと。

「間違いない。」

全員が…そう言いながら頷いた。

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