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恋愛小説ふう回顧録、ときどき普通

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もし彼が専属マッサージ師なら

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テーマ:小説 > 妄想

2017/09/15 20:10:38

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俺は親父の意思を引き継いで港町の医者として働いている。
姉は自由なひと。
とりあえず、マッサージ店をやってる。
姉の店は外の海が見えるようになっている。
俺はだいたい毎週日曜日だけマッサージ店を手伝っている。
俺は昔知り合いがマッサージしてくれたのがきっかけで
マッサージ治療の資格を持っている。
本来掛け持ちはいけないだろう。
でも、この港町でそんなことを指摘する人はいない。
みんなおおらかだ。
姉の店は女性客を意識している。
店に来るお客様には大抵ハーブティを出す。
これが結構好評だ。姉がハーブティの水だしを
作ると「この清涼感がいいわね」と言われる。
さて、なぜか日曜日だけマッサージ店は女性客が
多く来る。
皆、毎日忙しいから日曜日くらいしか休みがないらしい。
本当は俺目当てのお客様が多い。
俺は谷口湊。
さて、日曜日の午後のゆったりした時間帯になると
だんだんとお客様が来る。
「こんにちは。こちらへどうぞ」
姉が長椅子に案内する。
「堀口様、本日はいかが致しますか?」
「背中が疲れてる。背中全体を頼みたいわ」
「ご希望の担当はございますか?」
「あ、湊さんはいるかしら?」
「いますよ。ちょっと待って下さいね」
姉が俺を呼びにきた。
「堀口様のご指名よ。ちゃんとやってよね」
「分かった。いつものセットある?」
「あるよ。ほら、早く持って行きなさい。待たせたら
いけないから」
俺は姉からいつものセットをもらってお客様のもとに
向かった。
「堀口様、こんにちは。今日担当させていただく谷口湊です。よろしくお願いいたします」
「こちらこそよろしくね。今日は背中全体が疲れてるの。
背中全体を頼みます」
「かしこまりました。ではうつ伏せになって頂けますか?」
堀口様は俺の言うように長椅子にうつ伏せになった。
「ちょっとお洋服上に捲りますね。今までハーブで
かぶれたことございませんか?」
「大丈夫です」
「では失礼します」
俺は丁寧に洋服を上に引き上げた。
ハーブの香りのオイルを背中全体に塗る。
それをゆっくりほぐしていく。
「いかがですか?」
「気持ちいいです」
「堀口様、今回はどうして背中全体が疲れてしまった
のでしょうか?差し支えなければ聞かせて下さい」
「私はここら辺のお店等に荷物卸しをよくするの。
みんな高齢化してるでしょ。うちの旦那は腰痛持ちだし
息子は遊び回って使い物にならない。だから結局私が
やるしかないのよ。疲れるけどね。でも荷物を運んだ
先のおうちの方のありがとうを聞くと嬉しいわ。
私が役に立ってると思うから。この街にも野菜等の
移動販売車が来たらいいのにね。そう思わない?」
「そうですね。ここは狭いから販売車が来にくくて
不便ですね。分かります。そういう大変なときは
僕を呼んでくれて構わないですよ。街の診療医と
言ってもあまり人が来ないから暇なくらいです。
たまに急患が来るけど。あぁ、ちょっといいこと
思いつきました。俺の知り合いで農家がいます。
新鮮な野菜をよくくれます。ただ、そいつの畑の場所が
分かりにくくて売れないらしいです。そいつの車だったら
この街の狭い道路を通ることが出来ます。良かったら
話しておきます。肩などはいかがですか?」
「お願いします。あぁ背中全体を丸を書くように
撫でてくれない?」
「分かりました」
俺は大きな手で背中全体を丸を描くように撫でる。
肩も優しく。
「あぁ、気持ちいい。力強くして」
俺は少し力を強くしてもみほぐす。
肩甲骨の辺りが硬い感じだ。
「いかがですか?」
「いいわ。ねぇ、私でも出来ることない?」
「そうですね。腕を後ろに引いて肩甲骨を引き寄せてから
手を前へ押し出すようにするとわりと簡単に気持ちよく
なります。あとは、肩に手をおいて円を描くように
大きく後ろに回したり、前に回したりと体をほぐすように
意識するだけで変わります」
「あとは体の内側から温めていくのが1番いいですね。
例えば生姜のすりおろしをホットティに入れ少しの
蜂蜜を入れるのはいかがですか?僕は冷えたと感じたとき
このホットジンジャー蜂蜜を飲みます。ゆっくり体が
温まり心地よくなります。人間、体が温まることで
リラックスして眠りやすくなります。あとは
出来ればお風呂上がりに簡単なストレッチをするのを
オススメします。眠りにつきやすくなります。
お風呂の温度も人肌より少し温度を下げます。
これだったら堀口様にも簡単に出来ると思います」
「なるほど。ありがとう。そろそろお仕舞いで
いいわ。代金はどちらに払えばいいかしら?」
「姉が受付にいるのでそちらに声をかけて下さい」
「あ、お水を持ってきますね。喉が渇いたと思うので。
ちょっと待って下さい」
俺はウォーターサーバーから水を汲む。
姉がけだるそうにしている。
「店長、堀口様がお会計をするそうです」
「分かった。あぁこれから3時くらいはもっと
忙しくなるから、この会計湊に任せるわ。
私は夕飯の材料買ってくるからよろしくね」
「はい」
俺は待っている堀口様のところへ水を持って行った。
美味しそうに一気に飲む。
「お水ありがとう。いつものハーブティある?」
「水だしハーブティですね。確認します」
「あとお会計は玄関の受付のほうで致します」
「分かりました。ありがとう」
俺は冷蔵庫を開けた。
いつものハーブティがあった。
それをコップに汲む。コースターを添えて出した。
「お待たせしました。水だしハーブティです」
「ありがとう。これ好きなの。頂きます」
目をつぶって飲む堀口様。ゆっくり味わっている。
うちのハーブは自宅栽培のもの。
無添加でいい。
漸く飲み終わったらしく優しい笑みを浮かべている。
「あぁ美味しかったです。ありがとう」
「また今度よろしく頼むわ。玄関だったわね。
会計は」
堀口様が玄関の受付のほうで会計を済ませた。
「今日はありがとう。良かったわ。またお願いするわ」
「ありがとうございます」
俺は堀口様の背中が見えなくなるまで頭を下げた。
また、お客様が来る。
それを丁寧に接する。それが俺の決まりだ。
今日もゆっくり時間が過ぎていく。
(fin)

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