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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/17 23:38:44

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色んな事があった。

色んな事があったけれど…

結果幸せなまま…私はここまで来た。

だけど贅沢を言えば…

貴司を看取る事などしたくなかった。

貴司に看取られて…逝きたかった。

私が守りたかった貴司が…

私より先に逝ってしまうなんて…


今…私の前に眠る貴司…

そして、隣には…高原さんがいてくれる。

私が握った手を振りほどく事なく…

私のくだらない昔話を聞いてくれている。

これも…

これも、私の夢の一つだった。

いつか、私の罪を…

この人に打ち明けたかった。


「…貴司に…うちの兄と腹違いの兄弟という事を…」

高原さんは、呆然とした口調で言った。

「言いませんでした。貴司は…父親を醜いと思っていましたから…」

「……」

「でも、お兄様は立派な方ですね。あの人の血が流れてるなんて思えない。」

私が小さく笑うと。

「…それなら貴司だって、同じですよ。」

高原さんは…私の手を握り返して言ってくれた。

「血とか親とか…そうじゃないんです。あなたは…貴司を大事に育てた。愛を持って。」

「高原さん…」

「…俺も…二人の母に早く亡くなられて…あなたの事をいつからか母親だと思うようになりました。」

「……」

あまりにも…

あまりにも光栄な言葉に、私の目から涙が溢れた。

この人から、そんな嬉しい言葉をもらえるなんて…

「だから…まだ逝かないで下さい…」

驚いて高原さんを見ると、彼もまた…涙を流してくれていた。

こんな…

こんな罪深い私のために…


私はゆっくりと首を横に振ると。

「…とても…嬉しいです。でも…貴司だけを逝かせるわけにはいかないんです。」

うつむいて言った。

「なぜ…あなたは何も罪など犯してない。」

「いいえ…多くの罪を重ねました…」

「俺には、そんな風に思えない。」

「…高原さん、一つ…お聞きしていいかしら…」

私が涙を拭いながら高原さんを見つめて。

「…聖は、あなたの子供でしょう?」

そう問いかけると。

「…っ…」

高原さんは…言葉を失くした。

そして…

「……俺は提供者にすぎません。聖は貴司の息子です。」

とても…キッパリと、そう…言ってくれた…


もう…十分だ。

貴司がいなくなった今、私もいなくなって…そこから、新しい桐生院が始まる。

高原さんがいてくれるなら…

私は安心して…旅立てる…


「…今から、大部屋に戻って…みんなの顔を見ます。」

「……」

「その後で…私はここで…貴司の所に逝きます…」

「……」

高原さんは…流れる涙を拭う事なく…私の手を強く強く握りしめた。

「高原さん…今まで…本当にありがとう…」

私がそう言うと、しばらく黙っていた高原さんが…

私の肩を抱き寄せて。

「……お母さん……」

耳元で…そう言ってくれた。

…ああ…

なんて事だろう。

最期に…こんな幸せが待っていたなんて…


向こうに行ったら…

貴司に話さなくては。

もしかしたら…


ヤキモチをやかれてしまうかもしれませんね…。

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