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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/17 20:07:40

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千里さんと子供達が会った。

二人とも最初は警戒していたようだけど…すぐに懐いた。

貴司は不機嫌そうだったけれど、千里さんの本心を聞いて…応援する立場に回ったようだ。

後は…知花の固まってしまっている想いを…解きほぐす何かがある事を祈るだけ。


知花には内緒のまま、千里さんと子供達の密会は続いた。

あんな笑顔の出来る人だったのだ…と、千里さんを見ていて思った。

子供達が可愛くてたまらない千里さんは、これではバレてしまいますよ、と言うのに…来るたびに服やオモチャを持参した。

…可愛くてたまらないのでしょうけどね…


でも、実の所…私は少しイライラしていた。

千里さんは失敗する気はない。と言って、新しい楽団を作ったそうで…

それで成功した暁には知花を迎えに来るつもりなのだろうけど…

それは、いったいいつなのですか。

のど元まで出かかってしまう言葉を、毎回飲みこんだ。

この瞬間にも、どこかのトンビが知花をさらって行ってしまうんじゃないかと…気が気ではなかった。

知花はまだ若い。

それに、とても穏やかな雰囲気の可愛らしい子だ。

知花の楽団も、結構な男前さん揃いで…

あの方達にはお相手はいるのだろうか…

知花は恋愛の対象になっているのではないだろうか…

それもとても気になったし…

知花の所属する音楽事務所。

たいそう大きな会社だと聞いた…

だとすると、社員さんもたくさんいらっしゃる事でしょう。

そんな所で…知花は誰からも見初められないわけがない。

婆バカと言われるとそれまでだが、知花は…本当に可愛い。

そんな可愛い知花に悪い虫がつく前に…

トンビがさらって行ってしまう前に…

千里さん!!早く!!

と…私が思っていた春の日…

「お義母さん、会いたかった…」

…さくらが…戻って来た。


さくらは…事故に遭って記憶を少し失っている。

貴司からそう聞かされた。

だけど…

「見てお義母さん!!」

「…さくら、声が大きいですよ。」

「はっ…ご…ごめん…」

あまりの…元気の良さに。

桐生院家にはいないぐらいの元気の良さに。

「……」

「……」

華音と咲華は、さくらにかなり人見知りをした。

それに…

「ねえ、おばあちゃま…」

「何ですか。」

「…あたし、あの人の事、お母さんって呼ばなきゃいけないの?」

麗も、敬遠した。

「麗はさくらが嫌いなのかい?」

「…嫌いって言うか…騒々しくて苦手…」

麗の言葉に、つい小さく笑ってしまった。

騒々しい。

まさしく、さくらにピッタリの言葉だ。

「そう呼んでやれば喜ぶんでしょうけどね…」

「しつこいんだよね…お母さんって呼んでくれって…そういうのって、あたしがその気にならなきゃ無理なのに…」

「……」

誓はあっさりとさくらを『お母さん』と呼び始めたが…

麗は容子さんの手前もあるのか…なかなか素直になれないようだった。

騒々しいから苦手。

とは言っているものの…

さくらに抱きつかれる麗は、嫌そうな顔はしていても…本気じゃない。

その証拠に、さくらが離れた後は…少し照れくさそうに…そして離れて行った体温を寂しげに振り返る。


毎日が楽しく慌ただしく…

私は、さくらにも貴司にも聞きたい事はたくさんあったけれど、なかなかその機会は訪れなかった。

出来れば二人きりで話したいのだけど…

以前はあんなに簡単に二人きりになれたこの家で、今それをしようとするのは困難だ。

席を立つたびに、さくらが『どこ行くの?』と聞いてきたり、華音と咲華が付いて来たり…

私は思い切って…貴司の会社まで出向いた。

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