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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/17 17:43:27

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新生児室の前に行くと、七生さんがあからさまに口元を緩めて子供達を見ていた。

「あ~んもう…可愛すぎる~…食べちゃいたい~…」

大きな独り言が聞こえて、つい笑ってしまった。

「知花には会いましたか?」

後ろから声をかけると。

「あっ…まだです。て言うか、今の聞こえてました?」

「本当、食べてしまいたいほど可愛いですね。」

ニッコリしながら言うと、七生さんは『あちゃー』と言いながら首をすくめた。

「じゃ、病室行って来ます。」

七生さんがそう言って知花の所に向かってる時…

突然私の耳に、バタバタと慌ただしい足音が届いた。

何事かと眉をしかめると…それは貴司の物だった。

あの貴司が。

あの、貴司が。

走っている。

私は驚きを通り越して呆れた。

走っているだけじゃなく、慌てている。

目を見開いて、口を開けて…こんなだらしない顔の貴司は、初めて見た。

何とも言えない気持ちになった。

…毒が抜けたと言うか…

今まで何かに騙されていたのかと言うような…

とにかく、言いようのないおかしな気分だった。


走っている途中で七生さんに出くわして、何か短く話して。

七生さんが指差した方に向かって、再び駆け出した。

その後ろを…麗と誓も走ってやって来た。


私はその姿を見届けて、ゆっくりと病室に向かう。

やっと…やっと、ここまで来た…そんな気がした。

病室の中は、見なくても分かる気がした。

きっと…みんな泣いたり笑ったり…照れくさそうにしているはず。

容子さん、あなたをそこに入れてあげる事ができなくて…本当にごめんなさい。

幸せを感じながらも、私の贖罪は尽きない。

死を持って償うより、私は生きてこの罪を背負う。

幸せになりながら…不幸にもなる。


病室では、貴司が知花と手を取り合って泣いていた。

それを見た誓ももらい泣きして…麗だけは戸惑った表情だったけれど…嫌そうではなかった。

みんなで知花の子供達を見に行って…そしてやはり幸せな気分になった。

…さくらが知ったら…どんな言葉を発するだろう。

やはり、さっきの七生さんのように…食べちゃいたいと言うのだろうか。

さくらの場合、もっと大声で…目を丸くして…食べちゃいたい!!と…


その夜、私達は一晩中知花の子供達の名前を考えた。

華の家の子達に…

華音(かのん)と咲華(さくか)と。

事の他、あれだけ知花を毛嫌いしていた麗が張り切っていた事を…

私は…容子さんが少しだけ…許してくれたのかしらね…と、勝手に思ってみた…。

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