ブログランキング12

いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

  • 記事数 3320
  • 読者 728
  • 昨日のアクセス数 15918

テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/17 13:34:56

  • 73
  • 0

容子さんが亡くなった後の我が家は…穏やかだった。

四十九日の法要が過ぎた頃、貴司が容子さんの荷物を整理し始めた。

…全て要らないとでも思っているのか…

片っ端から処分しているようだった。

「麗に残してやりたい着物もあるでしょうに…」

私がそう言うと。

「…では、お母さんに任せていいですか?」

片付けていた手を止めて、私に言った。

…亡き妻の荷物整理さえ、したくないと言うのかしら…

確かに…容子さんは亡くなる寸前は…貴司にたいそうな暴言を吐いていた。

身体も精神的にも辛いからか、心にもない事を言ってしまうのか…

それとも…それが本心なのか…

愛人の息子…と連呼して。

貴司は随分と苛立った顔をしていた。

…愛があれば…我慢もできたのかもしれないが…

貴司には…それがあったのだろうか…。


貴司から引き継いで荷物の整理をしていると…思いがけず日記が出て来た。

「……」

人の日記を盗み見るなど、趣味の悪い事はしたくなかったが…

高原氏との事が書いてないだろうか…と、そこが気になった私はそれを開いた。

すると…

『息が詰まる』『最悪な家だ』『使い物にならない夫』『気味の悪い娘』『愛人の息子を溺愛する義母』

「……」

つい、笑いが出そうになった。

容子さんは…何とも正直に…思いの丈を書き連ねているではないか。

私はパラパラとページをめくった。

『誰にも必要とされていない』

「……」

その文字は…酷く胸に刺さった。

『あの人に結婚を申し込んだが断られた』

『あの人の子供を妊娠出来た!!最高に幸せだ』

『あの人に結婚願望はない。私はおとなしく身を引くだけだ』

『他の男の子供が出来たから別れようと言うと、あっさりと了承されて泣けた』

『私は桐生院のために生きる』

「……容子さん…。」

私は、バサリ。と日記を膝の上に置いて…涙を流した。

容子さんは…一人の女性だったのに。

私は…それすら無視してしまっていた。

桐生院のために生きる。

それは…私と同志だったと言えるのに…分かり合えなかった。


「…許してちょうだい…」

容子さんの着物を抱きしめて…私は泣いた。

今更泣いたとしても、許される事もなければ…届くはずもない。

私は…一生、この罪を背負う。

麗と誓を大事に育てる事でも…償いには満たないとしても…

容子さん…

桐生院に…来てくれたのに…

辛い想いばかりをさせて…ごめんなさい…

本当に……ごめんなさい…。

同じテーマの記事

コメント0

しおりをはさむ

関連するブログ記事

  1. 42nd 51

    09/16

    娘が亡くなったと言うのに…祥司さんとは丸一日連絡がつかなかっ...

  2. 子供が小学生の頃のデジタル日記掘り起こしシリーズです。…...

  1. 42nd 75

    09/17

    新生児室の前に行くと、七生さんがあからさまに口元を緩めて子供...

  2. 珍しく息子の物ではなく私の買い物をしましたシリコンのイン...

このページのトップへ

GIRL’S TALKにログインする

Ameba新規登録(無料)はこちら

11/20 編集部Pick up!!

  1. 新築お披露目で義両親にイライラ
  2. 不在時に来た子供が発作起こした
  3. 妻を家政婦扱いする夫に呆れた

人気ブログ記事ランキング

  1. 1

  2. 2

  3. 3