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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/17 08:51:54

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「…貴司は…この事を…」

震える声で問いかけると…

「…知ってる…」

「……」

「知ってて…あたしと結婚するって…言ってくれて…」

バカな…という思いと…なぜ…?という思いと…

「…ごめんなさい…ごめんなさい…」

私が呆然としている間も、さくらは泣いて謝り続けた。

そんなさくらを見ていると…嘘をつかれたとか、裏切られたという気持ちより…

…可哀想でたまらなくなった。


「…父親は…誰なんです…?」

「……」

「もしや…事件に…」

「違う…」

「…ちゃんと…好きな相手の…子供なの?」

「……」

私の問いかけに、さくらは随分時間が経った後…小さく頷いた。

「どうして…」

好きな相手の子供…そう聞いて、私はすぐさまハルさんの奥様を思い浮かべた。

祥司さんの子供がどうしても欲しかった、と。

家のための結婚を強いられた身でも、それだけは譲れなかったのか…

私は…あの時はただただ驚いたが…

冷静に考えると、羨ましくなったのも事実だ。

好きな男の子供を産む…

…女にとって、それはこの上ない幸せのはずだ。


「どうして、ここに来たの。」

さくらの手を強く握って言った。

「…え…?」

「その人と、どうして一緒に産んで育てようとしなかったの。」

「……お義母さん…」

「今でも、その人の事を好きなんじゃないの?」

「……」

何を思い出したのか分からない。

私の目からも涙が溢れた。

たった一度のくちづけ。

本当は…私はあの男の子供が産みたかったのではないのか?

なのに…不貞をしなくて良かった…と、自分に言い聞かせて。

恋に縁がなかった。

そう決めつける事で…私は自分を守った。


「今からでも、その人の所へ…」

「もう…戻れないよ…」

「どうして。」

「…あたしが妊娠したこと…知らないし…」

「え…?」

「いいの。あたし、彼と一緒にいたら…好き過ぎて…壊れそうで…壊しちゃいそうで…」

「…バカだね…さくら…」

さくらの不器用さに、腹が立った。

さくらは…まるで私だ。

なぜ心を隠すの。

壊してしまいそうなほど好きな相手なら、それを素直に打ち明けて飛び込むべきなのに。

「苦しいぐらい好きなのに…どうしてその人から離れたりしたの…」

「だって…」

「貴司が、その人の代わりになれると思う?優しいだけの男で、つまらないでしょ?」

「何…何言ってんの…お義母さん…自分の息子に…酷いよ…」

貴司は…

もしかすると、跡取りの事を考えて…さくらを引き受けたのかもしれない。

そこにあったのは、愛ではなく…契約だったのでは…?


「…そうだね…でも、私はさくらが可愛い。どうか…本当に愛する人の所へ…」

私は…さくらの背中を優しく触りながら言った。

「ダメなの…あたし、彼の赤ちゃんなんて…」

それでもさくらは…頑なにそれを拒んだ。

「…さくらには、幸せになって欲しい…子供の事なら…心配しなくていいから…さくらは好きな人の所へ戻っていいんだよ…」

その時…私の中に、色んな想いが湧いていた。

さくらには、幸せになって欲しいと本気で思い。

貴司には…私のために跡継ぎの事を考えてくれたのなら…と、それはそれで愛しさが湧き。

私は、さくらに…

「私に打ち明けた事を貴司には言わないように。」

酷な…秘密を持たせた。

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