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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/16 18:34:09

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「…奥様、少しは食事をされた方が…」

そう言われても…何も食べる気がおきなかった。

もう、このまま布団の中で息絶えてしまいたい。

寝たのかどうか分からないような睡眠。

眠れないと思っていても、横になっているといつの間にか意識を失っている。

それは眠っているのか…それとも目を開けてこの現実と向き合う事を拒否しているのか。

そして…毎朝目が覚めるたびに味わう絶望感。

なぜ…私は生きているの。


「……」

ふと、部屋の隅に花が活けてある事に気付いた。

小さな花器に…菖蒲。

私は横になったまま、それを眺めた。

…いつから…あそこにあったんだろう。

全然気付かなかった…

それを見ていると、眠くなって。

久しぶりに…いい眠りについた気がした。


目が覚めると真夜中で、照明を点けていなかったいなかったせいで何も見えなかった。

立ち上がって、真っ直ぐ上にある照明の紐を引く。

突然暗闇から朝のような明るさになり、私は一瞬目を細めた。

そして…菖蒲のあった場所に、今度は…チューリップが活けてあった。


「…チューリップ…」

華穂が好きだった花。

生徒さん達はある程度歳を取って来ると、好きな花にチューリップと答えるのは恥ずかしそうだった。

そんな中、華穂は堂々と『チューリップが好き!!』と言って、子供らしさを満開にした。

…可愛い娘だった。

私は…表立って子供達に笑顔で接する事はなかったけれど。

それでも…庭で遊ぶ姿をどこからともなく眺めては…ひっそりと笑顔になっていた。

華穂も貴司も…私の一番の財産だと…

…貴司…


ふと、貴司の事を思い出した。

もう数日部屋から出ていない私は、廊下からの中岡さんの声には反応する事はあっても…誰とも会っていない。

貴司は…どうしているのだろう。

…この花は…貴司が?


私はゆっくりと部屋を出て、階段を下りた。

今夜は満月が近いのか…庭一面が明るく見えた。

広縁にある藤の椅子に腰かけて、庭を眺めた。

ついこの間まで…華穂があそこに立っていたのに…

「…うっ…うう…」

あれだけ人前では流れなかった涙も…

一人になると、とめどなく流れた。

私は…これからどうして生きていけばいいのだろう…

まだ愛し足りなかった。

もっともっと伝える事もたくさんあったのに。

私の愛は華穂に届いていなかったはずだ。

今更ながらに自分の不器用さを呪った。

もっと…全身全霊をかけて。

あなたを大事に想っている。と…伝えれば良かった…

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