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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/16 18:02:51

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娘が亡くなったと言うのに…祥司さんとは丸一日連絡がつかなかった。

会社の者が総出で探してくれたが、祥司さんは何番目かの愛人と海外に行っていたらしい。

と、長井と中岡さんが話しているのを聞いた。

もう幻滅もしない。

むしろ帰って来なくて良かったのに。


「華穂…どうして…」

それでも一応祥司さんは悲しんだ。

人前で一度も泣いていない私より、豪快に泣いて葬儀を盛り上げた。

そんな祥司さんを見て…私もだが…貴司も萎えていたのかもしれない。

ずっと伏し目がちで、涙を見せなかった。

…病院では、あんなに泣き叫んでいたのに。


華穂は…

学校帰りの貴司を見付けて、横断歩道を渡っている最中…車にはねられたらしい。

青信号だったのに。

華穂は何も間違えてはいなかったのに。

貴司は…その一部始終を見ていたそうだ。

そして…

自分があそこにいなければ、華穂は横断歩道を渡る事はなかったのに…と、自分を責めた。


「……」

火葬場で…貴司がうつむいたまま顔をあげなくなった。

そして、膝の上で握りしめた両手の上に…ポタポタと涙を落とした。

祥司さんは、そんな事は気にも留めず…ただただ泣いている。

時々私に向かって『おまえは悲しくないのか』と、吐き捨てるように言っては…また泣いた。

…悲しくないと?

この男はバカじゃないだろうか。

私が悲しくないとでも思うのか。

私自身が死んだも同じだ。

華穂は…私が命を懸けて産んだのに…

華穂は…

これからまだたくさん…


「…め…さい…」

隣から聞こえた振り絞るような声に、私は前を向いたまま…手を伸ばした。

手の平には、貴司の涙がビッショリとついて…私の手の甲にも、それは落ちて来た。

…貴司のせいじゃない。

むしろ…15歳という多感な時期に、可愛がっている妹を目の前で亡くした貴司には…本当に地獄を味あわせたと思う。

だが…

どうして…

どうして華穂なの…


その想いが、私の心を閉ざした。

葬儀の後、誰とも話したくなくなった私は、長井と中岡さんに全てを任せた。

祥司さんはまた出て行ったきり帰って来なくなった。

もう、いなくて結構。

私も…その内ここからいなくなるかもしれない。

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