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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/16 15:39:41

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「おめでとうございます。」

「……え?」

その時の私は、酷くマヌケな顔をしたと思う。

体調不良が続いて、まさか…と思いながら訪れた病院で…思いがけぬことを言われたのだ。

妊娠?

祥司さんとそういう行為をしたのはいつだっただろう。

酔っていた彼が部屋を間違えて入って来て。

「ああ…雅乃か。おまえでもいい。」

そう言った時…私は反対に。

それはこちらのセリフだ。と、思う事にして耐えた。

やらせてやってもいい、と。

嫌悪感が湧くほど嫌いな相手じゃない。

だけどすごく好きなわけでもない。

父の会社を大きくしてくれた人。

恩はある。

私は私で上手くやっているのだ。

何も気にしない。


私は妊娠した事を中岡さんにだけ告げた。

両親にも祖父母にも告げなかった。

この頃祖父母はかなりの高齢で、二人ともが入院していた。

もしかすると、この子が産まれるまで持たないかもしれない。

両親にしても…元々あまり体の強くない父は床に伏せることが多く、母もそれに付きっきり。

もはや桐生院は、私が動かなくては華の家だという事すら忘れられてしまいそうだ。


…跡継ぎの事など、もう頭になかった。

だが産まれてくれるなら…私はさらに祖父母や両親に勝った気になれる。

勝ち負けではないとしても、愛人の子供を可愛がる祖父母には辟易としていたし。

私を気遣いながらも、やはり愛人に金の工面をしていた両親にも嫌気はさしていた。

何としても…産まなくては。


やがて、祖父が危篤に陥った。

私は祖父の枕元に座り。

「春には曾孫が産まれるのに、見て行かれないのですか?」

ゆっくりと、冷ややかにそう言って…お腹を触った。

その頃はまだ五ヶ月でお腹も目立たなく。

私の言葉を聞いた両親と祖母は、たいそう驚いた顔をした。

祖父は私の言葉に応える事もなく亡くなった。

それから二ヶ月後には、祖母も。

「雅乃の子供が見たかった。」

と、つぶやかれたが…それまで受けていた仕打ちのせいか、私には泣いて手を握るほどの情けもなかった。


祥司さんは、少し帰って来る日が増えた。

そんな時には、やはり本妻のものなのだろうか。と少し優越感に似た何かも感じたが…

嬉しいとは感じなかった。


そして、四月中旬。

私は…

……女の子を出産した。

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