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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/16 14:26:31

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あれ以来、ハルさんとは一度も会わなかった。

私は祥司さんと結婚し…かれこれ5年が経とうとしている。

だけど…私には妊娠する気配さえなかった。

どうしても跡継ぎが欲しい両親は、私のいない時に祥司さんに愛人に産ませろと説得しているようだった。

最初から…私が悪いと決めつけられている。

もしかしたら、祥司さんに問題があるかもしれないのに。

どうして女はこんな時にすぐ悪者にされるのだろう。


まさか血の繋がった両親までが、私を悪者にするなんて。

私は毎晩布団の中で泣いた。

なぜ…なぜ私には子供が出来ないのだろう。


「お嬢さん…あまりお気になさらない方がいいですよ…」

親子でうちに住み込みで働いている、中岡さんが慰めてくれた。

ご主人は一人で遠くに働きに行っておられて。

会うのは年に数回。

そんな中岡さんには、二人の娘さんがいる。

年に数回しか会わないのに…二人も。


もう、私に残されているのは…跡継ぎを産む事しかない気がして。

私は憑りつかれたように神社にお参りに行ったり、病院に通って相談したりもした。

そのおかげかどうか…

結婚して6年。

22歳の時に…私はようやく妊娠した。

恋とか愛とか…そんな物はすでに私の中には存在していなくて。

ただ、自分の責務を遂げられる喜びを感じた。

なのに…

私は…妊娠四か月で流産してしまい…

祥司さんには…余所で男の子が産まれた…。


悲しかった。

毎日泣いて過ごした。

そんな私に遠慮する事なく、両親は祥司さんが余所で産ませた男の子に名前まで付けた。

もはや私は桐生院の一人娘の気がしなかった。

もしかしたら、ここの人間なのは祥司さんで…私はただの欠陥商品…

ここにいる資格なんてあるのだろうか…

一応私を気遣ってくれ、まだ若いから気を落とすなとは言ってくれたが。

だが…やっと出来た命を失くして…私の心は折れ掛けていた。


そんな時…

中岡さんが言った。

「お嬢さん…本当にその子は旦那様の子供なんでしょうか…」

「…どういう事?」

「お金目当てでそう言ってる可能性もありますよね?」

「…どうかしら…」

中岡さんは…私の味方だった。


両親から、祥司さんが産ませた子供の世話をするように言われたらしい中岡さんは、コソコソとうちから出稼ぎに行くような形で、祥司さんの愛人の家に通った。

…愛人『達』の…だ。

そして…ちくいち報告してくれた。

「貴司さんの母親は、お金次第で桐生院に養子に出してもいいと思ってるようです。」

「…我が子をお金で売るなんて…信じられない…」

「本当に…」

「…他にも、いるんでしょう?何人いるの?」

「…大丈夫ですか…?」

「知っておきたいの。」

「……」

中岡さんが教えてくれたのは…祥司さんには、三人の息子がいるという事だった。

だが、『貴司』の母親以外とは縁が切れていて、目下祖父母と両親の目当ては『貴司』らしい。

「他の二人は…いつ産まれたの?」

「…一番最初の子は、祥司さんが二十歳の時のようです。」

「二十歳…?じゃあ…もう12歳?」

「ええ…そして、その次が…25歳の時のようです。」

「…そう。じゃあ…12歳と7歳の子供がいるのね…」

私と、初めて会った頃。

祥司さんは、すでに二人息子がいた…。

私との間に子供が出来なかったのは…やはり私が出来にくい体質なのだろうか…

何としても…

何としても、子供を産まなくては。


この頃の私には…

桐生院の娘だというプライドだけが。

自分を奮い立たせていた。


祥司さんに…

彼の愛人達に…

負けてたまるか…と。

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