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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/16 10:31:04

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亜津子ちゃんのお葬式の後。

私は一人で公園で泣いた。

亜津子ちゃんのお葬式には、同級生は誰も訪れず…

反対に、私はどうしてここにいるのかと好奇の目で見られた気がする。

亜津子ちゃんは友達だった。

幼馴染だった。

身体が弱くて、一緒に外で遊んだ思い出は少ないけれど。

それでも、枕を並べて他愛もない話で泣いたり笑ったりした…

大事な…友達だった…。


「…大丈夫?」

声をかけられて顔を上げると、逆光でよく見えなかったけど…男の人がハンカチを差し出してた。

「あ…」

涙も拭わずに顔を上げてしまった事が恥ずかしくて、慌てて制服の袖で顔を拭いた。

「せっかくハンカチを出してるんだから、袖じゃなくてこれで拭いたら?」

そう言いながら、その人は私の隣に座った。

「…ありがとうございます…」

差し出されたハンカチを、一応手にして…だけど使わずに手に握った。

「亜津子の友達?」

手に握ったハンカチを見ているところにそう言われて…

私は驚いて顔を上げた。

「あなたは…?」

「亜津子の義理の兄だよ。」

「……」

義理の兄…って事は…

「亜津子ちゃんの…お姉さんの旦那さん?」

「そう。」

「あちこちに彼女がいる…?」

「え?」

「はっ!!」

つい、口に出して言ってしまった!!

私は慌てて口を押えたものの…

「あははは!!亜津子、そんな風に言ってたんだ!?」

その人は…なぜか大笑いをした。

「すい…すいません…」

「いいよ。あちこちに女がいるなんて、男冥利に尽きるしね。」

男冥利に尽きると言われても…私にはそれがいい事に思えないんだけど…

「名前、教えてもらっていいかな。」

膝に頬杖をついて、私の顔を覗き込むその人は…

あちこちに彼女がいる人で…

なのに…

「…雅乃…」

私は、少し…見惚れていた。

亜津子ちゃんが亡くなって悲しいのに。

この人は、亜津子ちゃんの義理のお兄さんなのに。

「雅乃ちゃん。」

その人は私の名前を呼んだかと思うと…

「亜津子のために泣いてくれる友達がいるなんて…って、慶子が喜んでたよ。」

私の頭を撫でた。

…慶子…ああ…亜津子ちゃんのお姉さんか…

「お兄さんの…お名前は?」

興味なんて湧くはずもなかったのに。

頭を撫でられた時…胸の奥で変な音がした気がした。

「俺?俺は…」

その人は、足元に落ちてた木の枝を拾って、地面に『陽』って書いた。

「…よう…さん?」

「陽って書いてハル。」

「…ハルさん…」

私は…その時気付かなかった。


胸の奥から聞こえた変な音が…

恋の始まりの音だったなんて。

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