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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/16 08:38:05

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「……」

学校の帰り道、私はその光景を目の当たりにして…カバンを抱きしめた。

祥司さんが…見た事のない女性と肩を組んで、宿から出て来たのだ。

その女性は…私など比べものにならないぐらい、大人の女性だった。

見た目も美しく、色気もあって…赤い口紅が似合う…大人の女性だった。

制服姿で、カバンを抱きしめている私とは雲泥の差だ。

男性が10人いたら、10人ともその女性を選ぶはず。

あの赤い唇にそそられない男性などいない。


不潔だ。

瞬間的にそう思った。

私は…あの男と肌を重ねるのか?

許嫁がいるのに、白昼堂々赤い唇の女と肩を組んで宿から出てくるような男と…

私は生涯を共にしてなくてはならないのか?


泣きながら駆け出した。

小さな頃から厳しく育てられて…誰とも恋なんてした事がなかった。

生涯を共にする人とのそれが理想だ…と、私は夢を見過ぎたのかもしれない。

こんな事、人に話せない。

…だけど、幼馴染の亜津子ちゃんの顔が浮かんだ。

幼馴染だけど…めったに会う事はない。

なぜなら、亜津子ちゃんは体が弱くて、ずっと家で寝込んでいるからだ。


私は久しぶりに亜津子ちゃんの家に行った。

うちから小さな路地を二つ南に下った所にある亜津子ちゃんの家は、あまり日当たりの良くない…だけど今時珍しい洋風の白い壁の二階建て。

私は遠慮がちに亜津子ちゃんの部屋の窓を叩いた。

お父様は銀行にお勤めで、お母様は趣味で洋裁の教室を持っておられて、この時間は隣町のきれいな公民館で生徒さんに教えてらっしゃる。


「…雅乃ちゃん…?どうしたの?」

亜津子ちゃんは白いフリルのネグリジェを着ていた。

浴衣しか着た事のない私にとっては、憧れ以上の物だ。

「亜津子ちゃん…体調どう?」

亜津子ちゃんを見上げて言うと。

「うん…今日は少しいいみたい。入る?玄関から来て?」

亜津子ちゃんは、夏だと言うのに…ネグリジェの上にカーディガンを羽織って玄関に回った。


亜津子ちゃんのベッドのそばに座って、二人で紅茶を飲んだ。

亜津子ちゃんの家には、私の憧れている物がたくさんある。

紅茶なんて、桐生院では絶対出て来ない。


「雅乃ちゃん、じゃあ…進学はしないの?」

まず…許嫁と会食をした話を出すと、亜津子ちゃんは残念そうに言った。

「…女に学は要らないって…お父さんが言うの。」

「お父さん、失礼だな…雅乃ちゃん、頭いいのに…お医者さんにだってなれちゃうのに…」

「……」

私は無言で亜津子ちゃんの手を握った。


私は…医者とまでは言えないが、看護婦になりたかった。

人に尽くしたい。

病気や怪我の人を労わりたい。

そう強く思うようになったのは…亜津子ちゃんが床に伏せ始めてからではあるのだけど…

それは言わなかった。


だが、進路について両親に相談しようとすると…

父は有無を言わさず進学などないと言った。

16になったらすぐに結婚だと。

それが私の…決められた道だ…と。

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