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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/16 00:07:31

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「…おまえの父親は、高原さんだよ。」

いきなり、そう言われて…顔を上げた。

誓兄達の事を先に聞かされると思ってた俺は…すごく…その…

今の話の流れで、薄々勘付いてたのに…それさえも忘れるほど驚いた。

「……」

呼吸が…苦しくなった。

やっぱり、信じられない。


「…おっちゃんは…父さんの親友だろ…?なんで…あの人に…?」

「…聖、私は…あの人からさくらを奪ってしまったんだよ。」

「奪った…?奪ったって…でも、おっちゃん、うちに来てたじゃん…奪われたって思うなら、来るわけねーよ…」

「私はどうしても…あの人と仲良くなりたかった…さくらを奪った罪悪感を軽くするために…あの人にはさくらを好きなままでいて欲しかったし…さくらにもまた…あの人に恋をしたままでいて欲しかった。」

「…は?何言ってんだよ…意味わかんねーよ…」

父さん…頭おかしんじゃねーか?

別れた二人を…なんで想い合わせるような事…?


信じられなくて、ずっと首を横に振った。

て言うかさ…

精子くれって頼んだって事だよな…?

親友だからこそ、できねーよ…

ましてや、昔愛し合った女を奪った男に、おっちゃんも…そんな事出来るかよ…


「作り話と…思うか?」

「思うに決まってる。こんなの…有り得ない。」

「…有り得ない…か…」

有り得ねーよ…

「もし本当だとしたら、父さんも母さんも…おっちゃんもおかしい。作り話だよな?そうだろ?」

「…信じられないか。」

「信じられるかよ。こんな話…」

「…さくらは知らない。」

「えっ…」

「知らないんだ。」

「……」

呆然とした。

そんな事…出来るのかよ…


「…高原さんは…さくらとの結婚を夢見ていたのに…私が知花をダシにさくらを連れ戻してしまった。」

「……」

「私が…高原さんの幸せを奪ってしまったんだ。」

そう言った父さんは…すごく苦しそうな顔をした。

今まで見た事もないほど…。


「精子をくれと言った時…高原さんは拒んだ。」

「…それが当然だよ…なんで…押し切ったんだよ…」

「さくらが…母さんと一緒に子育てをしたいと言ってくれて…どうにか、出産させてやりたかったんだ。」

「……」

「それで…脅したんだ。」

「脅した…?」

もう、俺には…父さんの気持ちが全然分からなかった。

そんな理由で、おっちゃんは…別れた女に内緒で自分の精子を提供して…

そして…生まれたのが俺で…

しかも、母さんは俺の実の父親がおっちゃんだって知らないまま…って…さ…

「…どんなネタ掴んでたんだよ…あのおっちゃんが、絶対こんな事するわけねーじゃんかよ…」

やっぱり信じられない。

そう思って、眉間にしわを寄せたまま問いかけると…

「…誓と麗の父親の事で…強請った。」

「……」

これも…頭の中に入って来なかった。

父さん…あんた、次から次へと…

何言ってんだよ…


「…誓と麗は…容子が浮気をして出来た子供だ。」

「!!」

言葉は出なかったが…心臓が飛び出るほど驚いたし…

「…はっ…っ…」

過呼吸になりそうになった。

父さんは俺の呼吸が落ち着くのを待ってから…

「…浮気されても仕方ない状況だった…」

少し寂しそうな声で話し始めた。

「容子は…寂しかったんだと思う。」

「…寂しいから浮気って…」

「私のせいなんだよ。」

「……」

しばらく…無言になった。

父さんは窓の外に見える夕陽を眺めて。

俺は…頭の中を整理しようと思うのに…それは何一つ出来なかった。

ただただ…信じられない…


「…私は…誓と麗の父親をネタに…高原さんに無理矢理精子提供させたんだよ。」

夕陽が落ちた頃。

父さんが…口を開いた。

「…父親をネタにって…父さん、誓兄達のお母さんの浮気相手…知ってたのかよ…」

まさか…おっちゃんが…?

「…私は容子の浮気に対して興味はなかったが…母が調べていたんだ。」

「…ばーちゃんが?」

「誓と麗の父親は…」

「……」

「高原さんの…お兄さんだ。」

「…え?」

「当時、もしその事が世に出回ったら…大変な事態になるぐらいの地位の人だった。」

「……」

おっちゃんは…

尻拭いさせられた…って事かよ…

そんなネタで…

「…そんなネタで強請られて…出来たのが俺って…」

「……」

「なんか…情けねー…って感じ…」

ほんっと…

力抜ける。

ガックリ肩を落として頭の中を真っ白にしてると。

「…それでも…おまえは私の生きる糧になった…」

父さんは、静かな声で言った。

「…生きる糧…」

「私の中で…高原さんとさくらの息子である聖…おまえは…完璧な息子なんだよ…」

父さんの言ってる事が…全然理解出来ない。

「…もし…私に精子があったとしても…きっと私はそうしただろう。」

ますます分かんねーよ…

もう、言葉にも出来なくなった。

とにかく、俺は…父さんの子じゃなくて。

だけど、完璧な子だ、と。

ふっ。

だけど、それは父さんが思ってるだけだよ。

俺から見たら…俺は完璧にお兄さんの尻拭いをさせられたおっちゃんの息子で…

何なら…駄作。

そんな気さえしちまう。


「誰にも…私の血なんて…分け与えたくなかった…」

父さんがそう言って…目を閉じた。

「…何なんだよ…勝手に…悪者ぶってさ…」

病気の父さんに向かって、こんな言葉…出したくないのに。

「悪者ぶってるんじゃない…私は…悪者なんだよ…」

「もういいよ…もう…真実なんて…聞いたっていい事なんてないって分かったからさ…」

俺が立ち上がろうとすると、父さんはガシッと俺の腕を掴んで。

「私は…人殺しなんだよ。」

俺の目を見て言った。

「……は?」

「みんなが…容子を疎ましがっていた。」

「……」

「疎ましがっていたが…誰にもどうにも出来なかったから…」

「おい…嘘だろ…」

膝が…ガクガクし始めた。

何…何言ってんだよ…

「誰にも…どうにも出来なかったから…私が…」

「…嘘だろ…?」

俺の目から、涙がこぼれた。

「…本当だ。」

「…父さん…」

「すまない…話しておきたかったんだ…」

ベッドの脇に頭を乗せて、泣いた。

そんな俺の頭を撫でながら、父さんは…

「…これで…おまえには全部残せた。家族と力を合わせて…後は任せたぞ…」

今まで聞いた、どの声よりも…優しくそう言った。




…俺に…

何が出来るって言うんだよ…。

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42nd暗い!!
ほんっと、重たい話続きですいません(・ω・;)

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