ブログランキング16

いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

  • 記事数 3339
  • 読者 727
  • 昨日のアクセス数 14052

テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/15 18:17:24

  • 83
  • 0

昨日の貴司の留守電に折り返してなかったと思い、朝一で連絡すると。

『ちょうど良かった。今日付き合ってもらえませんか?』

そう言われて…大学病院に呼び出された。

そして、言われた通りロビーで待ち合わせると。

「実は今日から入院するんです。」

貴司は何でもない事のように、穏やかに言った。

「……」

入院すると言われて、辺りを見渡した。

「一人で来たのか?」

「まずは。後から誰かが来るでしょう。」

「……」

貴司は手ぶら。

つい、小さく笑ってしまうと。

「手ぶらなのがおかしいですか?どうせすぐ着替えさせられますし、必要な物は後から誰かが持って来ます。」

貴司は俺の顔を覗き込んで、いたずらに笑った。

…バレたか。


「それにしても…『誰かが』ってどうなんだ。ジャンケンでもして勝った奴とでも言うのか?知ってたら俺が荷物受取に行ったのに。」

師走で多忙なのだとしても、桐生院家…薄情だぞ?

主が入院すると言うのに。

そんな事を考えていると。

「実は、みんな受け入れられないようだったので、『先に行く』と書き置きを残して、コッソリ出て来たんですよ。」

貴司は歩きながら笑った。

「…受け入れられない?」

隣を歩きながら聞き返すと。

「末期の肺がんなんです。もう、長くありません。」

「……」

「そろそろ…もういい頃でしょう。」

貴司は、いつもと変わらないトーンで言った。

…末期の肺がんで…長くない?

「…待てよ。」

歩を進める貴司の腕を掴む。

「もういい頃って何だ。」

俺の言葉に貴司はじっと俺の目を見て。

「もう…十分幸せを味わったという事です。」

穏やかに微笑みながら言った。

「な…」

「これ以上幸せになると…天罰が下りそうなので。」

「バカ言うな。病気は…肺がんは…治療するんだろう?」

「とりあえず詳しい検査を受けろと言われました。しかし…恐らく治療は無理でしょう。」

「……」

「いいんです。それよりも、入院した方が仕事を休めると思って。」

「…バカか。こんな時に仕事なんて…」

「あなただって、きっとそうしますよ。」

「……」

それから貴司は受付を済ませて。

「五階だそうです。」

俺と一緒に五階に上がった。

入院する部屋は南向きの綺麗な個室だった。

「…残った時間で、色々話したい事があります。」

ベッドに座った貴司は、本当に…穏やかで。

死が近付いているような人間には思えなかった。

…むしろ…

それを待っていたかのように…

嬉しそうにも見えた。

同じテーマの記事

コメント0

しおりをはさむ

  1. 1

    MyhoneyCin...

    14時間前

    ひみつの恋。

    まきちむ

    記事数 18241 / 読者数 4109

  2. 2

    When love ...

    4時間前

    リノ

    記事数 694 / 読者数 1355

  1. 3

  2. 4

関連するブログ記事

  1. 気まずく電話を切った日からしばらくすると貴史はコンタクトレ...

  2. 42nd 81

    09/17

    それからの我が家は…いい事が続いた。麗がお習字で表彰され...

  1. 42nd 75

    09/17

    新生児室の前に行くと、七生さんがあからさまに口元を緩めて子供...

  2. 『ねぇ 指輪についている黒い石ってなぁに?』太めの存在...

このページのトップへ

GIRL’S TALKにログインする

Ameba新規登録(無料)はこちら

11/25 編集部Pick up!!

  1. 妊娠報告に「バカなの」と義両親
  2. 作ったご飯を毎日こっそり戻す夫
  3. 付合い辞めたら悲劇のヒロイン化

人気ブログ記事ランキング

  1. 1

  2. 2

  3. 3