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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/15 15:46:42

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「……」

俺は左の手の平を眺めて…

「ふっ…」

小さく笑った。


周子が他界して、7年。

今年はビートランド40周年で、夏の周年パーティーは大規模なイベントとなった。


ビートランドでは、いわゆる二世達が羽化の時期を迎えていて。

見事に集まった同世代たちは、切磋琢磨しつつ上を目指している。


気が付いたら…俺も74歳。

…まだ…倒れるわけには行かない。

いや…もう十分だ…。

毎日…そんな思いを繰り返す。


イベントが終わったと言うのに、すぐさま周子のトリビュートアルバム制作の企画を切り出すと、ナオトもマノンも…

誰もかれもが唖然とした。

「何生き急いでんねん。」

マノンはそう言ったが。

「生き急がなきゃマズイだろ。俺達の歳を考えてみろ。」

俺がそう真顔で言うと、肩を落として納得した。

自分がこの歳になっても、まだ音楽に携わっているなんて。

リトルベニスに住んでいた少年の頃の俺は…思いもしなかった。


「そのじじいが、鬼のようなスケジュール立ててるんやんか。」

そうは言っても、お祭りの好きな輩ばかり。

特に、周子のトリビュートアルバムは…普段組む事が出来ないメンバーとのコラボを楽しめる。

マノンのギターにドラムは光史、ベースは沙都…違うパターンでドラムで希世や沙也伽も参加して。

マノンは息子とも孫とも孫の嫁とも組めて満足そうだ。


どの親子も組ませた。

形として残るものを作るとなると、みんな家に帰ってもかなりディスカッションをしたようで。

「親父、そこ弾き過ぎだろ。」

「何をっ!?おまえこそ足数増やしてくれや。」

「ま…まあまあ…お父さんもおじいちゃんも…これ、あまりハードにしない方がいいって、晩御飯の時言ってたよね…?」

「沙都はペースが遅すぎる。」

「うっ…僕は…言われた通りに…」

「あははは!!頑張れ沙都ー!!」

「…希世ちゃん…沙也伽ちゃん…笑うなんて酷いよ…」

朝霧家の参加するそれは、スタジオに人がいっぱいになるほど…刺激を受けに集まるアーティストが多かった。

いや…厳しいメニューに疲れた輩が、癒しを求めに来ていたのもある。

朝霧家がアットホームなのに対し、千里と京介は、華音と彰に容赦なかった。

刺激は受けるだろうが…ピリピリムードに耐えられる面子は、そういなかったらしい。

「こっちのスタジオは人気がないなあ。」

圭司がそう言って笑うと。

「京介が無愛想だから。」

「神に言われたくない。」

…全く。

熱くなるのはいいが、我が子を潰すなよ?


こうして、周子のトリビュートアルバム制作は、着々と進んだ。

生きてる間に…

こうして、何か形にしてやれば良かった。

…俺はいつも、後悔しかしない。

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