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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/15 14:38:33

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桐生院に行くと、いつも…

「おじちゃま、いらっしゃい。」

と、咲華と華月が腕を組んでくれて。

「ちーす。」

華音と聖はクールにそう言う。


通い過ぎたのか、料理に関しては貴司の母親が作った物と、知花が作った物…さくらが作った物の区別がつくほどになっていた。

もちろん…そんな事、誰にも言わないが。

さくらの料理を口にしては…ほんの少し、昔に旅立った。

幸せだった自分に励まされながら…俺は…毎日をやりすごしていた。

だが…このままではいけない。と。

密かに想うだけならいいじゃないかと思うのは、ダメだ。と。

…心を入れ替えた。

もう、過去の自分やさくらに救いを追い求めるのはやめよう…と。

それまで、桐生院に行く時は外していた指輪を…外さない事にした。


…どうにかしていた。

結婚しているのを、まるで…知られたくないみたいに…

誰にも何も言われなかったが…

きっと、気付かれていたとは思う。

いい歳をして…さくらがそこにいると思う場には、指輪を外して出向くなんて…

なんて小さなことにこだわる男なんだ…。


それから数年して、周子は落ち着いた。

俺は…とにかく尽くした。

今まで、本当に…周子にしてやれなかった事。

夫婦として過ごす時間を大事にしたいと思った。

だが…周子は時を同じくして病気を患い…外出さえも難しい状態になっていた。

マンションに帰ろうと言っても、本人がそれを拒んだ。

とにかく…俺には世話になりたくなかったらしい…。


…当然だ。

俺が周子を苦しめた。

本来、周子はもっと輝く場所にいるはずだったのに…

ジェフとの再婚で、幸せになっているのだとばかり思ったが…

俺という存在のせいで、周子はジェフに暴行を受け…こんな状態になってしまった。

全ては…俺と出会ったせいだ。

あの時、なぜ一緒に暮らそうなんて言ってしまったんだ。

なぜ…


「父さん。」

呼ばれてハッとして…瞳を見ると。

「何…何してるの…?」

瞳は不安そうな顔で、俺を見た。

言われて手元を見ると…

「…え…」

どういうわけか…両手が赤く染まっている。

「…何で切ったのかしら…」

瞳は俺の腕を掴んでソファーに座らせると、救急箱を取り出した。

「……」

今…俺は何をしていた?

無言で手の平の血を眺めていると。

「…母さん、幸せだった…って。」

瞳が消毒液とガーゼを手にしてつぶやいた。

「……」

「ここ数年は…父さん、忙しいのにずっと通ってたものね…」

…幸せだった…?

そんなわけがない。

俺の罪滅ぼしは、何も終わってない。


瞳に手当をされながら、突然やって来た喪失感に息苦しくなった。

周子は…もういない。

俺はこれから…



どうやって償っていけばいいんだ。

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