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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/14 16:16:48

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「おまえ、初回から容赦なかったな。」

録音した音源をチェックしながら、まこに言った。

「だって…もうそんなに時間ないし。」

「まあ、そうだけどな。」

陸んちでのリハの後、事務所のルームにセンとまこと三人で集合。

後で陸も来る予定。

色々反省点や改善点を見付けて、検討し合う。

早い内に一度合わせようと言う事で…急遽今日集まった。

幸い瞳さんは現在専業主婦で、昼間も時間が取れる…と。

そして、さくらさん。

知花の母親だが…バンドメンバーとして迎える事になって、失礼ながら名前で呼ばせてもらう事にした。

まあ…それが違和感ないほど…若い。

そのさくらさんも、昼間でも時間が取れるとの事で…思ったよりも合わせられそうだ。


「光史君、ここの三連の時に少しモタつくね。」

まこに指摘されて目を細める。

…全く。

昔から、まこには脱帽だ。

SHE'S-HE'Sには特にリーダーはいなくて。

率先して動くのは陸。

そして、俺。

だから、高原さんも親父も神さんも…決定事項や重要事項は、俺か陸に回して来る。

だが、サウンドの事に関して一番シビアなのは…まこだ。

知花同様、とにかく耳がいい。

知花は最後まで聴いて、全体を通しての改善案を出す事が多いが…

まこは、その時点で止める。

そして、直るまで何度も繰り返す。

ま…そんな方針に慣れて来てる俺達は、それも何てことはないんだが…

初回の瞳さんに、あれはキツかったんじゃないかと…


「それにしても…すごかったな。」

録音した音源の二曲目が終わった所で…センが言った。

「…ああ。」

センが何の事か言わなくても…まこも俺も分かった。

…さくらさんだ。

「一音も外さない上に…サビ前で思いがけない入り方してたな。」

「下手したら流れを壊しかねないのに、すごいよね。」

「でも…楽しそうだったよな。」

センの言葉に、まこと頷く。

本当に…さくらさんは楽しそうに歌っていた。


「親父の中で、さくらさんの話ってタブーだったのか…最近になってようやく昔の話を聞いた。」

俺がそう言うと。

「えっ、聞きたい。」

まこが前のめりになって言った。

「ナオトさんは話さないのか?」

「昔少し聞いたけど…大した事は聞いてないんだよね。」

「あのプレシズに出た事があるとかさ…」

「プレシズ!?」

まことセンは目を見開いて驚いて。

「それって…すごく有能って事だよね!?」

「すげー…そんな人と高原さんの娘…知花がすごいわけだよ…」

それぞれ、そんな事を言って感嘆の溜息をついた。


俺が親父に聞いた話は…

さくらさんのプレシズ出演は『当て馬』で。

だが、当時カプリで歌っていたさくらさんは『レストランシンガーの意地を見せてやる』と、名曲の数々をアレンジして、しかも…FACEの面々とナオトさんを従えて、ステージに立ち。

最高のパフォーマンスを見せた、と。

そして…


「あんな幸せそうなナッキーの顔、後にも先にも…あれが最後やったかもしれんな…」

カプリでの打ち上げの最中。

みんなが目も当てられないほど…高原さんはさくらさんを愛おしそうに抱きしめて。

「おまえ可愛いな。」

と…繰り返したそうだ。

まるで、今で言う神さんだ。

…高原さんのそんな姿は…俺達には想像すらできない。


その数週間後には、高原さんの生まれ故郷であるリトルベニスで挙式するはずだった二人。

だが…色んなタイミングの悪さで…その夢は消え去った…


「あの後、ナッキーは歌えんようになって…けど、時間をかけて復活した。あの頃、ナッキーが書いたラブソングは、全部さくらちゃんに作ったもんや。」

Deep Redに名曲は多いが…

中でもラブソングは…一時期に集中して作られていて。

あの頃の楽曲を、誰もが今も聴き続けている。

「あの後…ハッキリは言わんかったけど、また何かの縁で二人が一緒に居られるようになってナッキーに熱が戻った。ワールドツアー…最高やったなあ。ま…もう活動休止は決まってたんやけどな…」

Deep Redの早過ぎる活動休止は、周りや当事者であるメンバーさえをも動揺させた。

決断した高原さんは、日本から世界へはばたけるアーティストを育てたい。と、自らビートランドを設立した。

「…ま、俺らはナッキーがやる事についてくだけやねん。これからもな。」

これからも。

その言葉が…俺の胸を疼かせた。

これから…後どれぐらい…

Deep Redには時間が残っているんだろう。


その間に…

高原さんに…

誰でもない、高原さん自身に。


幸せを感じてもらいたい。

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